2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

その6

夜明けであった。 前夜の勝利に高揚しつつ、野営明けで冷え、強張った身体を伸ばして出発の準備をする一行。 周囲には生き物の気配はない。 ただひたすらに荒れ野が続いているだけであった。 遠く岸壁に砕ける波の音が響いてくる。 冷たい携行食を何とか飲み…

その5

目に映る全てから顔を背け、流れる時代にも背を向けて僕らは走ってきたよね。 しらじらしいポエムを呟きつつ巨大蜂の巣、仮称:デーモン蜂ピットを放置して荒野を進む一行。 だがしかし、時の流れは止まらない。 血の様に赤い夕日が西の山脈に沈もうとしてい…

 その4

沼地を後にした一行の前方に、小さな洞窟の入り口が見えてきた。「あれこそがラッパンアスクの墳墓寺院への入り口やも知れぬ…!」「なあ…そろそろ分かってるだろ…?そんなわけないよな?」「……う、うん。」「いや、でも中に入ったら奥で広がっててそっちに立…

 その3

ぽっかりと口を開けた地獄への入り口を見なかったことにした一行は空に脅えつつ、南へ向かう。 鳥だ、飛行機だ、レッドドラゴンだ。海岸線は赤い暴君、赤竜アルガナクの縄張りなのだ。 膝をガクガクさせながら幾つ目かも覚えていない砂丘を登ると、視界が開…

 その2:

表に出ると早くも太陽は西の空に傾き始めていた。 夜が、近づいているのだ。 唯一のセーフゾーンであったシーコーストロードにヴァンパイア警報が鳴り響く。 彼方から押し潰された様に反響するサイレンが聞こえてくる。 むせび泣く様な警報音と共に足元のテ…

 その1:地獄の釜の蓋が開いたの巻

その日、ヴェルナ神聖国の聖都ミトリックは激震した。 長らく姿を現さなかった伝説的なラオの司祭長、ヘイゼン導師が民衆の前に姿を現し神託を告げたのだ。 かつてこの地上に存在したおぞましく呪われた数々の迷宮。 その中でも最も邪悪で最も危険と呼ばれた…