ラッパンアスクでえらい目にあった話がいっぱいたまって来たのと、この間プレイした時に最初の頃の話で盛り上がったのでメモッておきます。




ラッパンアスク! その名前を聞く度に我々は湧き上がる嫌悪と死の恐怖に呻き声を上げる!



最初にその呪われた名を聞いたのは、数年前のことだ。



確か英語版の3Eが出て最初か次の夏くらいのことだったと思う。


当時、僕等にD&Dを教えてくれ、DMをしてくれていた親玉先生の口からその存在が明かされたのだ。
ちょうどアドベンチャーボックスの2話目か3話目をクリアして、ダンジョンいっぱいに詰まったオークを皆殺しにした一行がいい気になって
ロマンシングサガチックに戦闘後の回し蹴りポーズを決めてキャッキャしている時のことだった。


「お前ら、3LVに上がったらいい所に連れてってやるからな…。」


殺意に満ちた目で僕等を睨み付けながら親玉先生は地獄のダンジョン、ラッパンアスクの話をしてくれた。


曰く、ネクロマンシーゲームズっていう会社から出ており、この会社はどうもPCを殺すことに情熱を傾けすぎのけらいがある。
曰く、3LVキャラクターからプレイ可能って書いてある。
曰く、ダンジョンの入り口には緑色の門番が立ちはだかってて3LVだとまず死ぬ。
曰く、デストラップと勝てないモンスターのオンパレードで何レベルだろうとまず死ぬ。
曰く、ラスボスは冥府の神、アンデッドのデーモンプリンス・オルクス。
曰く、豊富な挿絵は全部プレイヤーキャラクターが無残にぶっ殺されている絵。
曰く、素直にマッピングしてると発狂しそうなフロアがいくつかある。


話を聞いて震え上がる我々に向かって親玉先生は高らかに宣言した。
「3Lvになったら問答無用でそこに叩き込んでやる!」と。
その日の残りプレイ時間のほとんどは、自分があとどれ位の経験点で3Lvに上がってしまうか という話題で持ちきりになった。
3Lvになると同時にやってくる赤紙。もらったら生還はほぼ不可能。
レベルアップに必要な経験点の量がそのまま残り寿命に変わったようなものだった。



ちなみにそのパーティーは3LVに上がることなく、次のシナリオでドワーフ館を占拠していたホブゴブリンの群れにフルボッコにされて全滅した。
僕のドワーフパラディンも死んだ。


「全滅もしたことだし、ラッパンアスクに潜る前哨戦として同じ会社から出ている『フレイヤの坩堝』という初心者用モジュールをやりましょう。」
血の渇きを癒して穏やかな顔になった親玉先生がそういったので、次のセッションの日、我々は邪悪の影に怯える村を救うために立ち上がった
1LVパーティーとしてネクロマンシーゲームズのモジュールに挑んだ。


そしたらダンジョンのある村に着くまでに72回のダンラムエンカウントチェックが発生し、すばやく隠れたからす君のハーフリングローグを一人残して
パーティーは3回全滅した。
1回目は出発してから12時間後、野営の焚き火を物ともせずに突っ込んできたトロルの手によってパパのファイターが木っ端微塵に消し飛び、次の瞬間
僕の首も吹っ飛んでいた。
2回目はからす君が新たな英雄を募って村を出てから6時間後、森の角を曲がったら武装したオークの盗賊が1ダースほど、喧嘩っ早い気分でたむろしていた。降り注ぐジャベリンの雨にまたしても隠れたからす君以外みんな串刺しになって死んだ。
3回目はよく覚えていないが、出てきたモンスターの名前を聞いた瞬間にからす君が隠密判定をし出し、僕は黙ってキャラシートを裏返した様な記憶がある。

その時点でプレイ開始から2時間半が経過していたので「すみません、もうその舞台になってる村の出身でいいですか?」って言ってショートカットしました。

なんとかダンジョンに入ってからも「落とし穴に落ちると下にウーズ。」「物置いっぱいに詰まった巨大な蜘蛛」「雑魚のオーク。武装バリスタ。」「追い詰めると『次のモジュールで待っているぞ!』って言って逃げるボス」と実に奔放な作りで、これが初心者用ならラッパンアスクは一体どうなってるんだ!って震え上がりました。


あまりのデッドリーなバランスに恐れをなした我々はしばしD&Dから距離を置き、あの呪われたダンジョンの名前も時折口の端に上るだけになった。



去年の九月、からす先生が地獄の様な瞳で「ラッパンアスクの3.5版を買ったんですよ。」って言いだすまでは。