五代ゆう著 グイン・サーガ133巻 魔聖の迷宮

魔聖の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

魔聖の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

再開したグイン・サーガ。そして断絶していた130巻のラストシーンからの続きがついに始まったのだった。


終盤、あまりにもふわっとしていた話運びに輪郭が生まれ、キャラクター達のモチベーションは再度提示されて確認された。


数々の矛盾点は栗本薫先生が提示した荒業「2度めの記憶喪失」によって繕われ、本編130冊、外伝27冊の巨大な物語機械。火の失せたマシーンに小さな歯車が嵌めこまれ、ゆっくりと動き出した。



仏教とキリスト教の穏やかな部分だけを混ぜて作ったようなミロク教。


戦乱渦巻く中原に静かに広がっていたミロクの聖地ヤガは、しかしキタイの竜王ヤンダル・ゾッグの手によって恐るべき淫祠邪教の総本山へと作り替えられていた。


全編を通して屈指のヒロイン力を誇る二人。

パロの天才官僚にしてゴーラの狂王イシュトヴァーンの友ヨナ・ハンゼ

密かにイシュトヴァーンの子を産み育てていた元モンゴール公女付きの侍女フロリー。


いまや吟遊詩人マリウスとさらわれたヒロイントップ3の座を争うまでになったヨナとフロリー。


中原の重要人物を動かす人質、そして世界を解き明かす謎の鍵を持つ人物としてさらわれた二人のミロク教徒を


草原の鷹、アルゴスの黒太子スカール

絶望の「100巻過ぎて記憶喪失」期に登場し、弱すぎず、強すぎないその絶妙なパワーレベルで使い勝手のいい位置に食い込んだゴーラの騎士ブラン

そして伝説の魔道士”ドールに追われる男”イェライシャの3人は取り戻せるのか。




あとしれっと再登場を果たした外伝の登場人物、”黄昏の国の女王鴉”ザザと”狼王”ウーラ。
この二匹だいすっき。


著者が変わったのがいい方向に働いてる気がして、わたくし、大いに期待が高まり申した。