ニック・ヘロン著 田村義進訳 『窓際のスパイ』

窓際のスパイ (ハヤカワ文庫NV)

窓際のスパイ (ハヤカワ文庫NV)

<泥沼の家>。英国情報部でヘマを踏んで行き場がなくなった連中が送られる最後の吹き溜まり。

ここに左遷されるということは、二度と中央に戻ることはないということ。

どいつもこいつも死んだ目で、下品なボスの悪罵に耐え、意味のない任務に従い続ける。

自分から退職するか、定年を迎えるまで。


だが、突如として起きた特大の不祥事。

誰かに責任を押し付けなければならない。誰に?こういう時のために飼ってある役立たず共だ。

振りかかる泥を避けなければ、生贄の羊にされるだけだ。


裏切りと陰謀の交錯する中、不機嫌にサンドイッチを齧るだけだったボスの目が爛々と輝き出す。

ボスは元冷戦の闘士。

かつては鉄のカーテンの向こう、影の最前線で戦い続けていた。


そして戦場は失われた。


ボスの戦う相手もいなくなった。

<泥沼の家>を吊るし上げようとする連中が現れるまでは。



彼等は本当に無能なのか。


主人公リヴァーが<泥沼の家>に送られたのは何故なのか。


全体の80%以上をストレスフルなお先真っ暗描写が占め、読者をひたすらゲンナリさせる展開が続く。

ここまで読み終わるのに大体6週間くらいはかかった。


だが、450ページ超えた辺りからいきなり面白くなる。

よーしよしよしよしよし、こうじゃないと!こうじゃないとね!

最後まで読んでげんなりしない本だってわかったから続編も読むわ。よーしよしよし。