アンソニー・ライアン著  矢口悟訳 ブラッド・ソング1 血の絆

ブラッド・ソング 1 血の絆 (ハヤカワ文庫 FT)

ブラッド・ソング 1 血の絆 (ハヤカワ文庫 FT)

しれっと出てたけど読んだらぎょっとする面白さだったわ。


王国元帥の父、その父が戦場に行くのを厭わしく思っていた母。

母の死後、父に入れられた騎士団の訓練所。

「この門をくぐった騎士団員には父も母も居ない。騎士団の兄弟だけが家族だ」


父に捨てられたと感じた主人公ヴェーリンは、その悲しみを受け止めきれないまま、模範的な騎士候補として頭角を現していく。


同年代の少年たちとの訓練生活。

実家の自慢ばかりする高慢で嫌味なやつ

朴訥だが有能な田舎者

自らの才能を呪う少年

そして知的で繊細だが、王家への情熱的崇拝故に悲劇の気配を全身から放射する親友。


初登場時から印象最悪でやたらとヴェーリンにばかり厳しく当たる訓練教官。

この訓練教官とかありがちだけどもう最高。


主人公は自分が父親に捨てられたと感じるあまり、どんどん騎士団の教えに傾倒し、有能さを発揮していくんだけど

結果としてそれが主人公が父親の血を色濃く受け継いだ生まれながらに人の上に立つ英雄であることを証明しちゃうのがンモー!ンモー!いいわー!いいわよー!こういうのすごくいいわよー!


周囲の大人は父親のヴェーリンへの愛を知ってるんだけど、ヴェーリンだけは誤解しっぱなしで、その結果としてどんどん理想的な英雄(英雄って言えば悲劇がつきものね!)に向けて全力ダッシュしてっちゃうのよ。

これホント面白いし読みやすいから今月のマストバイよ。出たの去年の12月だけど。