マーク・グリーニー著  伏見威蕃訳 『暗殺者の飛躍』

暗殺者の飛躍 上 (ハヤカワ文庫NV)

暗殺者の飛躍 上 (ハヤカワ文庫NV)

暗殺者の飛躍〔下〕 (ハヤカワ文庫 NV)

暗殺者の飛躍〔下〕 (ハヤカワ文庫 NV)


コート・ジェントリー。元CIA特殊活動部出身。上層部の陰謀に巻き込まれて発見次第射殺命令を下されつつも生き延び、闇の世界で伝説となった男。

アメリカを敵に回して生き延び続けた伝説の殺し屋。

誰でもない男”グレイマン”。


前作でついに長年の因縁にケリを付け、CIAとの関係を修復したグレイマンさん。

CIA国家秘密本部本部長のポストには旧知のマット・ハンリーがつき

彼からの依頼でグレイマンさんは香港へと飛ぶ。


国電子戦部隊から逃亡した若いハッカー

赤い防壁網の全てを知り尽くした男。

彼を手に入れればアメリカは中国に対して電脳空間で優位に立つことが出来る。

だが、事態は複雑だ。

関与が明らかになれば国際問題だ。アメリカは表立って関われない。

レイマンさんはフリーのエージェントとしてまず中国側に接触する。

そして彼等の猟犬として若きハッカーを探し出し……抹殺したと見せかけてアメリカに亡命させる。

更にグレイマンさんのかつてのハンドラー。イギリスのフィクサー、フィッツロイが暴走した中国側の現地指揮官の手に落ちていた。

ハッカーを探す。

アメリカに亡命させる。

偽装がバレてフィッツロイが殺される前に助け出す。


3つ同時にやらなければいけないのがグレイマンさんのつらいところだ。


更にロシアの精鋭部隊までもがハッカーを狙って動き出す。

事態は混迷の度を深め、グレイマンさんは無理難題に唸りを上げながら危険なアクションを繰り返し

そしてみんなが待ち望んでいたムカつかないヒロインが登場する……!


シリーズも長くなってきたし、今まで設定の根幹だったCIAの即時抹殺指令が解除されたからちょっとパワーダウンするかと思ってたけど

今までで一番おもしろかった気がする。


白眉のセリフ「答えて……貴方はグレイマンなの?」とかグレイマンさんとハンリーのやりとり

「このポストは糞野郎のポストだ!わたしも今はクソ野郎だよ!着任以来鏡は見ないようにしている!」
「見てみたらどうだ?案外変わりないかもしれないぞ」

とかグッとくるシーンが沢山あって大変よろしゅうございました。

来年刊行予定の次巻が楽しみだわ。