クリストファー・ゴールデン著 山田和子訳 遠隔機動歩兵 ティン・メン


遠隔機動歩兵 -ティン・メン- (ハヤカワ文庫SF)

遠隔機動歩兵 -ティン・メン- (ハヤカワ文庫SF)


今よりちょっとだけ先の未来。


アメリカの戦闘用ドローン技術は一層の発展を遂げ


衛星通信経由の遠隔操作でコントロールされ、死なず、休まず、向かうところ敵なしのロボット兵士を創りだした。



オズの魔法使いに出てくるブリキ男のイメージから、彼等は”ティン・メン”と呼ばれた。



ティン・メンの力を背景により積極的に武力介入を推し進めた結果、紛争自体は減ったように思えたがアメリカの敵は超増えた。


増えすぎた敵。テロリスト、聖戦主義者、無政府主義者達の連合が繰り出した恐るべき計画。


超強力なEMP攻撃による現代文明の崩壊。


通信が途絶した結果、生身の体に戻れなくなったティン・メン達に恨み骨髄のテロリストたちが襲いかかる!



生身の体が置きっぱなしのドイツの基地へ戻らなければ、いろんな理由で命が危ない!


この戦争で破壊されたらログアウトは出来ない。ティン・メンのボディが壊されるだけでなく、そこに収まった操縦者の精神も一緒にどこかに吹っ飛んでしまう。


ログアウト不能のデス戦闘だ!! そしてこれはVRMMOじゃない。戦争だ!!


無茶苦茶シビアで洒落にならないけどどこか皮肉な状況に陥ったティン・メン達が派遣先のダマスカスから駐在大使とその娘を連れて脱出し


専用のロケットランチャーを担いだボット・ハンターと呼ばれる殺し屋がうようよする戦場を潜り抜け


G20国際会議で滞在中だったアテネで孤立している大統領を救出し


そしてドイツの基地で生身の体に戻るまでのハイパー高難度ミッション。



恐るべき追手を振り切り、文明が崩壊していく只中のカオスを泳ぎ切って帰還することが出来るのか。


驚異のアナバシスが今始まる……!


無人攻撃機、テロリストの連合やダマスカスからドイツへの脱出と、なんか現在進行形の敏感なモチーフが一杯出て来てドキドキしたけど


お話自体はストレートなエンターテイメント。


揺るぎない強靭な精神を持った兵士や、孤高のヒロイン、恐るべき敵や卑劣漢が一杯出てくるタイプのお話なんだわさ。