ゆるゆる第六世界



2日連続でシャドウランGMをする。

 

同じシナリオを使用したのだが、人質奪還のために敵拠点を襲撃するシチュエーション

でそれぞれ取ったアプローチが細かく違うのが面白かった。

 

1チーム目は

トロールボディガー

ミスティック・アデプト

フェイス

テクノマンサーの4人構成。

 

2チーム目にはマトリックス担当が不在だが

 

フォーマーカンパニーマン(正面戦力)

フィジカル・アデプト(モノフィラメント・ウィップ)

コンバットメイジ

フェイス

ドローンリガーの5人構成だ。

 

1チーム目。猛烈な勢いで作戦を立て始める。

1.まずは拠点のマトリックスホストを掌握

2.続いて見張りを静音狙撃。

3.しかる後、人質部屋に非実体で精霊を投入して不測の事態に備えた上で室内の見張

りをおびき出し、部屋を出たところでドアをロックして人質の安全を確保。

4.突入して敵を掃討する

 

完璧な作戦。

 

「ごめん、ライフルに消音器ついてなかった」

 

前提瓦解。

 

姿を消したメイジが接近し、感化の呪文で「なんかコンビニに行きたく」させてその隙

 

に突入する作戦!接近する必要は別にないのだが、狙撃案が生きてた時点では、対象が

 

生き延びたらフォローする予定だったのでなんとなくそのまま実行された。

 

呪文で足音までは消せず、見張りのダイス目が良くてバレた

 

「なんか足音がするな……?」首をひねる見張りに炸裂する「感化」呪文!!

「うわー、なんか急に2ブロック向こうのコンビニの”デラックス・オキアミ・のり弁”食べたくなってきた」

 

成功だ!

 

「LINEグループで皆に報告しとこ。コンビニ、行って、きま…」

 

わーーー!!この呪文は”思い込ませる”だけなのでこういう事されるのだ。

 

「助けてテクノマンサー!」

 

「しょうがないなあ」

 

イニシアチブ順に処理したが、間一髪のところで見張りのスマホマトリックス空間か

 

らデータスパイクが流し込まれ、見張りのスマホが煙を上げて沈黙した。

 

報告は阻まれた。プシュ!見張りの首筋に麻酔ダートが撃ち込まれ、無力化される。

 

「危ないところだった…」

 

次は人質の見張りをおびき出す番だ。フェイスが虚言技能で文面を作成し、テクノマン

サーが偽メールを出して部屋の外へ…完璧だ。

 

――虚言判定のヒット数1。

 

「見張りくん😀元気ー!?やっほー!😆ご飯食べてるカナ?おじさん心配!外行

こ?」

 

対抗判定のヒット数――2。

 

 

 

「敵だ!」

 

 

 

おじさん構文過ぎてバレた。

 

「バレた!突入だ!」ドア横で待機していたチームが室内に押し入り、銃撃戦になる。

 

前衛で踏ん張るトロールを襲う敵の「感化」呪文!

 

「お前ンとこのメイジ、コーポの犬でお前の命狙ってるから早く殺したほうが良いよ」

 

「そういえば俺、企業への偏見があった。死ね!バキューン!」

 

「アブねっ!」

 

ぎりぎり外れた

 

 

 

「考えたらお前が企業の犬な筈なかった!すまん!」

 

「いいんだ…ウン」企業SIN所持者で現在も密かにミツハマに籍が残ってるメイジはこわ

 

ばった顔で優しく許した。

 

「いいヤツ…やはりストリートの仲間は信頼できる…」

 

次のターン再びトロールが感化されてメイジを銃撃するとはGMも思ってなかった。

 

 

 

「誘拐犯も企業の犬もまとめて片付けてやらあ!」

プレイヤーのとんちで難易度の高い同時射撃オプションが宣言され、メイジへの攻撃は

 

外れた。元々インビジしてたのもでかい。

 

「すまん!またしてもお前を!お前を企業の犬だと思うなんて!」

 

「……いいんだ」

 

不穏な将来を予感しつつ全員生還。

 

 

 

2チーム目。マトリックス担当は居ないが、メイジとドローンリガーがいるので、まず

 

はドローンで周囲を偵察。屋外の見張りを把握した後、正面入口横の換気ダクトからシ

 

アワセ社製”カンムシ”マイクロドローンを侵入させて偵察を行う。

 

「心配だからアストラル投射してついていきます」メイジも同行。

 

ドローンのカメラ映像がチームのARに共有される。

 

室内にいるのは敵…敵…ボス…あと精霊。

 

精霊?

 

精霊。

 

メイジと精霊の目がバッチリ合う。

 

「契約者よ、襲撃です」

 

「よし、人質を殺せ」

 

秒でバレた。ウワーーー!!!

 

 

「やるしかねえ!」

 

こっちのチームの狙撃銃にも消音器はついてなかったが、こうなったら関係ねえ。正面

 

入口の見張りが轟音とともにひっくり返り、展開していたドローンが自動で銃撃を開始

した。その数4機。

 

幽体離脱中で実体空間に影響を及ぼせないメイジは慌てて契約してあった炎の精霊を召喚。

 

位置取りの関係上、敵も一斉に部屋から飛び出して激しいストリートファイアファイト

が展開した。

だが精霊の実体化で一手番遅れたのが痛い。人質部屋の見張りがアレスプレデターを抜いて人質を射殺…しようとしたらダイス目が悪くてグリッチした。

 

排莢不良!人質はエッジ使って回避。「アブねっ!」

 

「狙って狙撃!10ヒット!」

 

「エッジ使って12ヒット!回避!」

 

「ロングバーストで6ヒット!」

 

「エッジ回避!8ヒット!」

敵主力とチーム前衛がド派手な銃劇を繰り広げている所に飛んで来たドローンたちが無

慈悲な銃撃を加える。

 

「その程度…!」

BATATATA!

「ギャア!」

「なんだァ?」

BLAME!BLAME!

「ぎい!」

 

人間だけを殺す冷酷マシーンだ。

 

機関砲搭載ドローンにジャンプインしたリガーが「制圧射撃ですわ!」って叫んだので

敵主力は全員這いつくばった。

這いつくばった所に攻撃が集中し、身体に戻ったメイジのスタンボルトでボスが昏睡し、頭を抱えて転げ回っていた雑魚達はドローンに無感情な銃撃を食らって全滅した。

無慈悲な戦場ですわ。

 

「俺なら行ける!」アデプトが判定に成功し、弾幕を突っ切って室内に突入。

入口横に居た敵をサイコロステーキにする。強い。

「俺は――これしか出来ない男だから……」「これだけは誰にも負けないから……」この人、敵をバラバラにする度にそれ言ってない?

 

密室内で排莢不良を直し、人質にとどめを刺そうとしていた敵見張りの背後でドアが膨

れ上がるようにして吹っ飛び、ワルキューレを片付けたフォース6の炎の精霊が突入してきた。

「炎の精霊かよぉー!」

 

藤田和日郎作品みたいな顔で死の抱擁を避けたメイジだったが、走り込んできたアデプトにバラバラにされた。

 

「俺はこれしか…」

 

土手っ腹に流れ弾を食らったフェイスがずっと七転八倒しながら統率技能で皆にバフ飛

ばしてたり、割と壮絶な戦闘だったが、人質は無傷で奪還。こっちのチームは鉈みたい

な勢いあるアクションが印象に残る。あとドローンとサイコロステーキで現場が凄惨に

なりがち。

2連続でGMを満喫したわ。

 

 

クラエヴァーン分隊、都市防衛シールドのジェネレーターを守るの巻

遊べる機会があればそれは逃してはならない。

この20か月で心底思い知った教訓に基づき、近場で場所が取れたので第2回キルチームに踏み切った。

単に遊びたいだけなのだが、なんか果断な印象を人に与えたい欲望を抑えることが出来なかった。僕は弱い人間だ……

だが、弱い人間だからこそ出来ることもある……趣味への耽溺だ!!

 

割とどうしようもない感じになった。

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「LEVELUP」ボードの上にセッティングされた完璧なゲームボードの筈だが……

今回は前回使い忘れた「THE LEVELUP Board」を使ってみた。KickStarterで入手した品でテーブルの上に更にちっちゃなテーブルを作ってプレイヤーの手元スペースを拡張し、視認性を上げるプラ製の台だ。

実際凄く遊びやすいし、振ったダイスでミニチュアが薙ぎ倒される様なこともなく

凄く良かった……のだが写真は寄りすぎているので座卓の上にボード置いてるように見えるわね。もう少しレンズに凝って撮ればよかったかもしれない。

道具は関係ない。離れろ。

はい。

 

ゲームボードが物理的に高くなるので視認性が上がるのも良かった。

「ミニチュアからの視認線を確認する」みたいな時には特に楽だ。

 

さて今回のミッションは「ターミナル制御」

数億の惑星人民を守るヴォイドシールドのジェネレーター停止作戦を阻むのが任務だ。

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前回と変わり映えのしない構図だが、今回は肩に燦然と輝く連隊マークがついた。

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対する敵は宿命のライヴァル、プライマリス・レイヴァーキルチームだ。

多分この星自体に叛逆疑惑とかが掛かっている。シールド外して査察を受け入れないと星ごと吹っ飛ばされちゃうとかかもしれない……あるいは単に僕のキルチームが騙されて叛逆者側に加担しているのかも……トレイターァ!

前回はルールを失念しててやりそこねたが今回はチェック済みだ!

ベテランガーズマンの戦略支援、「準備砲撃」を使用して敵スタート地点の建造物に砲弾をぶち込みまくる。効果は「この建物にユニットを初期配置できなくなる」です。

無理に留まるとデストラクション2.0と表示が出て死ぬ。そんなルールはないが、プレイヤー同士はそういうコンセンサスを取った。とっても無駄な同意をとってプレイ時間をすり減らすのはいつもの事だ。

 

ぼんぼこ大砲を撃ち込んだので敵は初期配置を乱されたが、結果として前進傾向が強くなり、戦闘中ずっと苦しめられることになった。

3回動いて2回撃つスペースマリーンを怒らせてはいけない。

 

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グラップネルランチャーの恐ろしさを思い知る日。

うっかり作戦目標マーカーの位置を建物の上に設定したら

三次元機動を得意とするレイヴァー達が意気揚々と飛び込んできてあっという間に要所を制圧された。一個くらい建物の裏に置いとけばよかった……(ギギギギ)

 

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スゲエいい気になられた。

 

「余ったから真ん中に置いておこう」くらいのカジュアルさで設置された柱にひらりと飛び乗るレイヴァー・サージェント。

「馬鹿め!いい的だ!」というあざけりの声にも負けず、そのまま第3ターニングポイントまでこちらの十字砲火を浴びながら君臨し続けた。

頭上からの攻撃に軽遮蔽は無力である。

 

――ドウゥゥゥン!!!

銃声が尾を引き、前回味方の治療で存在感を発揮しすぎたメディックのアルニムが最初にやられた。

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まずヒーラーから殺す。鉄則だ。

「タンクさんヘイト管理しっかりしてください^^;」

「ヒーラーさん、安定する前に全体回復使わないで」

「使ってないですけど^^;」

「ちゃんと回復の仕事してww」

 

いきなりのK.I.Aで分隊内にギスギスした空気が立ち込める。

「ギスギスは×ですよー^^」

しらじらしい仲裁の言葉が硝煙と共に風に吹き散らされて消えていった。

 

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ボルタ―規律が発動し、次なる犠牲者を鋭い視線が射貫く

 

「いいでしょう……ですがわたしには皇帝陛下の加護が付いています……正しい道を歩むものが正しくない時に死ぬ事はないのです……」

 

どうやっても遮蔽が取れないのが分かったので急にいい気になったセリフを吐いて全身を射線に晒すヴァーポック。彼の狂信は奇跡を呼び、失敗した回避判定は全部振りなおせるのだ。

はたして弾丸は全て逸れ、ヴァーポックは無傷だった。

「皇帝陛下を信じよ!!」

得意の絶頂でヴァーポックは叫んだが、この能力は白兵には効かないので

次のターンに接近戦でミンチにされたと言います。

 

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ドウゥゥ…ン……

ハーデントベテラン、スタグラーもやられた。順番が逆なら衛生兵に助けてもらえたのだが。「メディーッ……ク(視線を足元の死体に落とす)!」

 

この間も射線上に姿をさらした敵に対して集中砲火が加えられており

支援部隊からはミサイルまで飛んできているのだが、出目が振るわずにレイヴァー部隊は一人も倒れない。

そういえば十字砲火を浴びせると命中率が上がる特殊戦術の存在を完全に失念していた。ああっ!しまった!!

負けには必ず理由があるという。真理っぽいが後付けならいくらでも好きな事言えるわ!へーん!へーんだ!

じり貧のまま、我が分隊は指揮官クラエヴァーンを含む総勢6名を尊い犠牲に

4人のレイヴァーを撃破するも、勝利点5対7の2点差で敗走した。

 

お、覚えてやがれ!!

 

いの一番にやられたのがメディックだったので戦闘終了後の負傷チェック振りなおしが1つ減っている。

大変心臓に悪い展開だったが何とか全員生還。

次回に向けて課題を残しつつも、特殊任務(ナラティブクエスト)の条件である戦術目標は達成していたのでまた一歩任務達成へと近づいた。

 

ベテランガーズマンは後方支援部隊の追加トルーパー4人と戦術資源の火力支援2種が選べるのだが、やはり人数は力だ。

追加のガーズメンが調達出来るようになり次第、後方支援部隊に切り替えていきたい。

空爆だの誘導ミサイルだのは最高に楽しいのだが、今日は10人いてなお手数の不足を感じた。相手が5人のマリーンだから範囲攻撃があんまり光らないのよね。

 

やはり数は力。数を頼むものは必ず逃げる。

 

この部隊オプションはAvalonの製作者たちが我々に課した試練だという者もいる。

誰だ。そんな人本当にいるならここに連れてきなさい。その人の名前を言ってみなさい!

何を言ってるか自分でもよくわかんなくなってきたが、やはりベテランガーズマンの単独販売が待たれている。

デモリション、コンフィデント・ベテラン、プラズマガン装備ガンナー辺りとセットで待ち遠しいわ。

 

物資保管庫は順調に埋まりつつあるので、部隊の装備も徐々に充実しつつある。

 

次の戦いで我々はもっと鋭く、もっと強くなる。

包帯グルグル巻きのクラエヴァーン軍曹が感動的な訓辞を垂れたが、野戦病院のベッドから返ってきたのは痛みに呻く声だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある『魂を喰らう墓』の未完記録 

1年ぶりくらいで日記を更新したら3年前に書いたプレイレポートが出てきた。

下書きの更新日は2018年の11月2日になっている。

このキャンペーン、最終回を目前にして世界を疫病の猛威が襲ったので止まっており

途中の記憶ももう朧なので続きを書くことはない。

だけど読んでみたら頑張って書いてあったので中途半端に公開します。

『魂を喰らう墓』は面白いのだ。冒頭はこんな感じのシナリオなのだ。

もしこれを読んで遊んでみようという気になる方がいらしたら、著者として何よりの幸せです。

ビジネス書の序文で百万回くらい繰り返された念仏が唱えられ、なんとなく意義があるような雰囲気が醸成された。

 

 

Dungeons&Dragons 第5版、スターターセットに続くシナリオモジュール

『魂を喰らう墓』のプレイヤーで参加してきまんた。

実は他所でDMもしてるので内容知ってるんだけど

意思決定に関わらなければよかろう、という事で5人目のメンバーとして

混ざったのよ。

 

ここからは公式シナリオの内容に触れて触れて触れまくる内容になるので

プレイ前、プレイ予定の方はご注意ください。遊ぶまで読むべきではない。

DMする人、チャプター2のマップを半分くらいまで進んだ人は読んでも良い。

このレポートは第1章から第2章冒頭辺りまでの滑り出しの記録だ。

終わった後にスケジュールをすり合わせたらいきなり僕の次回参加が難しいことが

判明したので続くかどうかもわからない。

だが、やたら面白かったので記録は残す。これはそういうプレイレポートです。

*1

ダンジョンズ&ドラゴンズ 魂を喰らう墓 第5版

ダンジョンズ&ドラゴンズ 魂を喰らう墓 第5版

 

ようこそ大密林へ!

死からよみがえるすべての者に、死の呪いがふりかかる。
よみがえった者は腐ってゆき、腐敗を止めようと手をつくしてもすべて失 敗に終る。
死者の魂は一つまた一つと盗まれ、命をむさぼる魔法の器の中に囚われている。
囚われた魂を開放し、再び死者の復活を可能にするには、魔法の器を破壊するしかない。

すべての手がかりはチャルトに通じる。チャルトは謎にみちた南の地である。
火の山があり、大密林があり、失われた諸王国の廃墟があまたある。 そしてそれらすべての地下に、一つの恐るべき墓がある。これは罠だ――だが、君はあえて火中の栗を拾うか? 

 

一陣の風が吹き、世界はあり方を変えた。

何かが。

想像することすら難しいが、何かが起きたのだ。

呪文や奇跡による死者の蘇生がそれを境に不可能になった。

最早、いくら呼びかけようと死者たちの魂は戻らなくなった。1人の例外もなく。

 

それどころか過去に死から呼び戻された者達も、世界が過ちに気がついたが如く

ゆっくりと腐り、朽ち果てていった。具体的には毎日HP最大値が1づつ削れ、

0になった時、再び死んで二度と蘇らなかった。

 

PC達は死に瀕した高レベルNPCの依頼を受け、彼女を救う為に全ての原因があると言

われるチャルト半島の密林を目指すことになる。

ハーパー・エージェントのネットワークが探り出した決定的な手がかり。

死霊術の秘宝。魂の収奪器、ソウルモンガー。

何者かが設置した恐るべきアーティファクトが世界に呪いをかけた。

それはチャルト半島に広がる大密林のどこかに隠されているという。

一体どんな存在にこの様な行いが可能だというのか。

可能だとすれば、それは神にも等しい力を持つ者ではないのか。

想像を絶する悪意の気配を感じつつ

英雄達は、面白やべえジャングルに足を踏み入れる……

 

 

 

 

PC紹介

 

 

名前:アシュレイ・ハイウィンド  種族:人間 年齢:28

クラス:ファイター  属性:秩序にして善

 

鬼哭啾々たる戦場であった。

足の踏み場とてないほどに軀で埋め尽くされた砦の、その中心に男はいた。

最早生きているのは男のみである。

勝敗は明らか。負け戦である。

男が生涯を通じて忠誠を捧げてきた主君も既に逝った。

守らんとしたものは、既に失われていた。

 

戦士たちの、一族郎党の、一つの王国の墓標となった城塞の中に騎士団を伴って敵将が踏み入ってくる。決着はとうについていた。。

「我らに下らぬか。貴様ほどの戦士は惜しい」

称賛に等しい問に対し、応えはこの場に不釣り合いなほど静かであった。

 

「否。戦場での事ゆえ貴殿らに恨みはない。だが我が忠義を捧げし主は既に逝った。

二君に仕える事は我が矜持が許さぬ。」

 

「では死が望みか。貴様の主とてそれは望むまい」

 

「許されるのなら……」

 

「言うてみよ」

 

「死者が冥界より戻らなくなって一月は経つ。星卜部によればその原因は南のチャルトにあるという。かの密林の何処かに隠された死の秘宝が、冥府に向かう魂を貪り喰らうからだと。許されるのなら我が身をチャルトへと追放されよ。残された命を使って主と同胞の魂を冥界へと導いてやりたいのだ」

 

この言を聞いた兵たちは口々に嘲り笑った。

 

「命惜しさに逐電を望んだか」

「己1人にそのような大それた事が出来ようものか」

「敗残の身の上には似つかわしい末路よな」

 

だが敵将は笑わなかった。

「我が敵は果報者である。我が配下にここまでの忠義を持つ者がどれだけいることか」

 

兵達は恥じ入り、そっと目を伏せた。

 

 

孤影が往く。南へ。海の向こうへ。チャルトの半島へと。

そこに待ち受けるのは平穏か死か。はたまた……

 

プレイヤーはあーやです。

ハウスルールで1人1つ貰えるランダム取得マジックアイテムはリング・オヴ・ジャンピング。武器はグレイブ。名字を見ればわかるがそういうことだ(跳躍音)

 

 

 

 

名前:ホリエル 種族:人間 年齢:25

クラス:クレリック 属性:中立にして善 

 

親なし子ホリエルは神の子として育った。

寒い貧民窟がホリエルの記憶の始まりである。

いつも餓え、凍えていたが、怯えてはいなかった。

誰かが自分を見守ってくれている気がしたからである。

 

その誰かは常にホリエルの心を内から激励し

幼子の手に祝福された炎を握らせた。

0レベル呪文、セイクリッド・フレイムである。

奇跡を呼ぶ幼子の噂はすぐに広まり、”教団”がホリエルを迎えに来たのはそれからすぐのことだった。

 

ホリエルはそこで手厚く育てられた。

神の教えを学び、その御業を広め、日々を祈りに費やした。

持たざる子であったホリエルに訪れた揺籃の日々。

穏やかな10年はまるで夢の中の如く、瞬く間に過ぎ――

ホリエルが成人を迎えた年、彼女はまた一人になった。

教団が裏で不死のデミリッチ、アサーラックを崇拝し、悍ましい悪行、儀式の数々に手を染めた淫祠邪教であったことが照邪騎士団によって明らかになったのである。

幹部から信徒に至るまで、邪教の信徒は尽く浄化の炎に消えた。

だが、騎士団のシャドウベイン・インクイジター達は驚愕した。

彼等の擁立していた”奇跡の子””教団の子”ホリエルが唱える教えの数々が

忍耐を司る善神イルメイターの教えと一言一句違わぬことに。

 

異端審問を専門とする照邪騎士団に嘘を付くことは出来ない。

皮肉なことにその苛烈な力が暴き出した真実が彼女を救った。

邪悪を焼き尽くす炎の中で静かに祈りを続ける娘。

ホリエルは邪悪な教団の内にいながら紛れもなく、一点の汚れすらなきイルメイターの愛子であった。

 

今彼女は、イルメイターに仕えるクレリックとしてチャルトの玄関口、ナイアンザルの港にいる。

狂ってしまった魂の流れを正すため。

幼き日に歪んでしまった自らの運命に再び向き合うために。

 

プレイヤーは、はたさんです。

ランダム取得マジックアイテムは+1武器(スピア)

 

 

 

名前:アイラル・アマキール 種族:エルフ 年齢:50

クラス:ウィザード 属性:渾沌にして善

 

故郷を後にした時には二度と戻らぬつもりであった。

知識を追い求め、漂泊に次ぐ漂泊を続けた永の歳月。

魔術を収め、旅にも慣れ、世界の神秘と正面から向き合うだけの力量をつけたアイラルの胸に去来したのは、望郷の念であった。

チャルト半島。密林に覆われた懐かしの祖国。

最後に見た時は戦火に荒れ果て、密林に覆われた空虚な土地だった。

自らの心と同じ様に。

 

だが、アイラルも変わった。最早かつてのアイラルではない。

頭には知恵が。胸には勇気が。そして手の内には強力なマジックアイテムがあった。

古い友人の近況も気になっていた。

帰郷の時は近かった。

 

プレイヤーは山羊さんです。

このブログの記事だと

グレイホーク・ナイトウォッチのドルイド、ムウナ。

ラッパンアスク攻略隊のマハーバラとフォンハイ。

そしてランダム取得マジックアイテムはバッグ・オヴ・トリックス(灰色)。

ダイスロールの結果、このアイテムが登場した時、プレイヤー達はどよめき、DMは呻きを上げながら天を仰いだ。

何故ならばこのアイテムは我々のプレイグループにおいて伝説的な猛威を奮ったアイテムだからだ。

グレイホーク・ナイト・ウォッチの第2話(■のところをクリックすると読めます)

kurono42.hatenablog.com

「犬のお礼参り事件」において

山羊さん操るドルイドのムウナは自らのペットであった狼だけでは飽き足らず

サモン・ネイチャーズ・アライの呪文と、バッグ・オヴ・トリックスで次から次に野生動物を酒場に投げ込み、熊と狼とワニで現場を阿鼻叫喚に叩き込んだ。

それ以降も奔放に放たれる面白動物の嵐にDMとDMの操るモンスターは蹂躙され

山羊さんとペットクラスの生み出すシナジーのヤバさ

その淡々とした宣言の恐ろしさは一同の心に骨の髄まで刻み込まれた。

そのあまりにも危険な伝説を持つマジックアイテムが事もあろうに当人である

山羊さんの手に再び渡ったのである。

鬼に金棒、アイラルにバッグ・オヴ・トリックスだ。

チャルトの密林に嵐が近づいていた……。

 

 

 

名前:ヴェルヴェット・ウィンターコート 種族:ハーフエルフ 年齢24歳

クラス:バード 属性:渾沌にして中立

 

酒と恋と詩歌を愛する漂泊の吟遊詩人。

歓楽街で金貨をばらまく豪遊を繰り広げたかと思えば

次に出会った時には一枚の銀貨にも事欠く有様。

いい加減で意地汚く、やることなすことどこかズレていて

口を開けば大言壮語のたわごとばかり。

だが、楽器を爪弾き歌を歌えば人々は言葉を失い

物語を語れば聴衆の感情は最早彼の思うがまま。

 

プレイヤーはわたくし、ランダム取得マジックアイテムは

インストゥルメンタル・オヴ・ザ・バーズのマクファミッド・シターン。

世界7大楽器の1つに数えられるこの魔法の楽器は

バード魔法の焦点具として使え、7種の呪文を弾き手に与えるという。

まさにバードにうってつけ、むしろこのアイテムを引いたからバードになりましたレベルの貴重な品。

 

 

DMは夏瀬マンです。

 

 

 

 ■第1章 ナイアンザル港の4人。

 

 

 翳を背負って陽光さざめくナイアンザルに降り立ったアシュレイ。

右も左も分からない異国。だが探索行の人員を探す者はいる筈だ。

船着き場を後に歩き去ろうとした戦士に、荷揚げされた荷物の落とす日陰にだらしなく寝そべって楽器を奏でていたバードが話しかけた。

 

「ほう!これはいかなる運命を持った英雄か!口にせずともわかりますぞ!貴方様の顔つきはまさに英雄の相!!」

 

「すまんが余計な事に使う金は持っていない。世辞は無用、案内の売り込みなら結構だ」

 

その間わずか0.5秒。カウンター気味に繰り出された台詞が、おだててから案内人としてついていこうとしたヴェルヴェットの顎を綺麗に撃ち抜く。

膝から崩れ落ちたヴェルヴェットだったが、危ういところで立ち上がり

果敢に営業を続けた。

 

「貴方様がいかな英雄とはいえ、見ず知らずの異国の地では勝手がわかりますまい!

港の隅から隅まで!チャルト半島のありとあらゆる地を掌を指すが如くに知っている(DMしたから)この私を案内人に雇えば百人力!この偉大なる知恵と知識がたった金貨1枚で貴方のものですよ!」

 

「金はないと言った」

 

ママ!合流ロールのついでにあわよくば小銭をせしめようとする僕のロールプレイが効かない!

 

マジックアイテムを鑑定するアイデンティファイ呪文の使用に必要な”100gp相当の価値を持つ真珠”を買ってしまったヴェルヴェットの懐には銅貨の一枚すらも残っていなかった。ここでアシュレイに雇ってもらえなければ買い物は愚かシナリオへの参加すら怪しくなるのだ。

 

「銀貨5枚」

 

「結構だ」

 

「3枚!」

 

「結構」

 

「2枚!」

 

「合流できないから1枚なら雇ってやろう」

 

「くそ!足元見やがって!お目が高い!」

 

「じゃあ普通に合流すればいいじゃない……」

 

「だって!博打の種銭が欲しかったから……!!」

 

アシュレイも、未だ見ぬ仲間も一斉に

「こいつの言うこと、まともに聞かなくてもいいな」って顔になった。

 

それを見ていた波止場のNPC達も

「あいつ、免許も持たずにガイドの売り込みしてやがるな……」という顔になった。

ナイアンザルは7人の商人王達が収める商業の港。

それぞれの持つ専売免許はこの街において、いかなる法よりも重視される。

他者の領域を踏み荒らせば死。

ガイドもまた例外ではなく、許可を得ずにガイドを働こうという行為に

与えられるのは処刑の予告を表す鉄銭である。

 

とはいえ、この都では金さえあれば命も、正義も、無垢すらもまた買い取ることが出来るのだが。

 

ちなみにヴェルヴェットの所持金は今もらった銀貨1枚だ。

通報されれば泣きながらジャングルに逃げ込むしかない。

 

 

 

 

魔法関係の商いを支配する商人王、ワカンダ・オタームの屋敷。

ここにチャルト探索隊を組織しようとする依頼人が滞在していた。

 

引退した冒険者で高位の魔道士であるシンドラ・シルヴェインだ。

彼女はかつて、うっかり死んだばっかりに死の呪いに囚われ

毎日午前0時になると最大HPが1減少する恐ろしい呪いに苛まれていた。

シンドラは高レベルなので現在の最大HPは73。

あと73日後には最大HPが0になり、逃れ得ぬ死を迎えることになる。

故郷へ戻ってきたアイラル・アマキールは、古い友人であるシンドラと語らっていた。

「わたしはこんなに年を取ったのに貴方はまるで変わらないのね……」

「貴方は変わりましたね。もうそんな高レベル。私は最後に会った時と同じ1レベルのままだし」

「そうですね。30年位経つのに……」

「貴方達人間はいつもそうです。激しく燃える炎の様にレベルアップしてあっという間に燃え尽きてしまう……」

 

永生者ロールプレイでオブラートに包んだジャブを水面下で打ち合っていると

ヴェルヴェットに案内されたアシュレイ、遅刻ギリギリで駆け込んできたホリエルが合流した。

「ごめんなさーい!道で出会った人達を救済してたら遅れちゃって!」

「具体的には?」

「急病で苦しんでるおじいちゃんと、急に産気づいた妊婦さんと、迷子の子供を助けてて……」

ホリエルも結構言うことが適当だ。

適当な言い訳を受けて、重役っ面のワカンダ・オターム(屋敷の主)がポップアップした。

「如何に立派な理由があろうとも、君がこの大切な面接の場に遅刻してきたのは変わらない。時間を守れない人間とビジネスをすることは出来ない。帰りたまえ」

 

「そんな……!」

「パーティーのメインヒーラーを嘱望されたクレリックが遅刻で内定取り消しに……!!」

 

「まちたまえ、専務。その若者はわしの知り合いじゃ」

「会長!?」

「あなたは!さっきのおじいちゃん!そろそろ先進めていいですか?」

「隙を見せて誘い込んでおいて、かなりの塩対応ですね」

「いや、そこまで拾われると思わなかったし、いざ拾われたら結構めんどくさくて……」

 

急にポップアップした会長のおじいちゃんは虚空に吸い込まれて消えた。

 

 

シンドラの依頼はシンプルであった。

このまま行くと絶対死ぬから死の呪いの原因と思しきアーティファクト

「ソウルモンガー」を探し出して破壊して欲しい。

成功の暁には好きなマジックアイテムをあげるよ!

これは前金で1人金貨50枚な!

 

 

全員懐具合が怪しいパーティーである。

涙がでるほどありがたい前金であった。

 

 

依頼を受け、ワカンダの屋敷からナイアンザルの港町に出た瞬間に

ヴェルヴェットが「よし!この200gpを恐竜レースで倍に増やしましょうか!」って

凄くいい笑顔で言った。

みんなは「じゃあ、俺情報収集。私はガイドを探します。わたしもここらの神殿に顔を出して挨拶してきます」って移動し、寂しい笑顔の男一人が残された。

 

寂しい男が「ちぇー」って言いながら市内ランダムエンカウントチャートを振ったら

イベントが起き、なんか胡散臭い感じの商人が、胡散臭い感じの寂しそうなバードに話しかけてきた。

 

「あたし金貸しなんですけどね、大枚500gp貸した相手が居直っちゃって返してくれないんですよ」

 

「はあ、なるほど」

 

「で、もしそいつを回収してくれたら1割の50gpを手間賃として差し上げます」

 

「お目が高い!我々にお任せください!(何故我々にそんな依頼を?)」

 

金に目がくらんだヴェルヴェットが秒で依頼を受けた。

裏は取らなかった。

 

買い物や情報収集を終えて戻ってきた一向に押しの強い笑顔で条件を提示するヴェルヴェット。

 

「不心得者の債務者からお金を回収するだけ!債務者にバックはなし!腕っぷしの強い英雄の我々なら赤子の手をひねるが如くに簡単な仕事です!まさに朝飯前のミルク・ラン*2!ぱっと行ってぱっと帰って1時間後には大枚金貨50枚を手に酒場で祝杯ってなもんですよ!」

 

(なんか面白いことになればいいな)という邪悪な願望がだだ漏れて

死にフラグを立てまくりのお仕事紹介になった。

みんなは報酬の良さからも危険の匂いを感じて警戒した顔になったが

金が足りないのは事実である。

移動用にカヌーを購入したらガイドを雇うのにギリギリ銭が足りなそうだったのだ。

 

「しょうがない、受けるか」

「これで債務者がとんでもない強敵だったら困りますねえ」

「なぁに、スリープでぱっと眠らせれば楽勝ですよ」

 

各々にそこはかとない不安をいだきつつ、教えられた債務者の行きつけの酒場にやってきた一同。

 

すると店中ではやたら筋骨たくましい男が1人、酒を飲んでいた。

 

「借金の回収にまいりました!」

返済を待ってくれ、的なことを言われたらRDR2のアーサー・モーガンもかくやという苛烈な取り立てを行う気満々のヴェルヴェットが話しかけると男はヴェルヴェットの胸ぐらをつかんで30cmばかり持ち上げるとその目を覗き込み、一言一言をゆっくり区切りながら「金、は、ない。返す気も、ない」と宣言し、ゆっくりと腰の剣を抜いた。

 

「ひっ ひいい! 桐生さん!出番ですよ!」

思いの外相手が強面だったのでRPプランが崩壊したヴェルヴェットは三下アクションで後衛にバックダッシュし、戦闘が開始された。

■酒場の回収劇 

 

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なんか凄くイニシアチブが良かったヴェルヴェットがライトクロスボウを撃ったら

クリティカルした。16点ダメージだ。

 

「やれやれ……そのクロスボウボルトもただじゃないんですがね……」

 

結果が良かったのでいい気になってロールプレイも添えることにする。

腰の後ろから抜き放ったライトクロスボウを宙に放ると、一回転した所を

掴み取ってそのまま射撃だ。

「あ、勿論死なないように急所は外しましたからね」

 

 

「はい、16点くらいました」

 

DMは役所の窓口くらいのテンションで答えると、黙って手元にダメージをメモした。

「暴力は嫌いなんですけどね……」

「はい、次はアシュレイですね」

「倒れないんですか?」

「倒れないですね」

 

――どうも様子がおかしい。

 

 

アシュレイがグレイヴで攻撃。特技、長柄の達人を使用して一撃を加えた後

グレイヴの石突き部分でもう一撃。合わせて19点。

 

「はい、くらいました」

 

挟撃位置に走り込んだホリエルがぶん殴って6点。

 

おかしい。

1レベルで受けた最初のサブクエストの敵が30点超えのダメージを食らっても

死なない。もしかしてこいつ、結構強いのでは?

 

とドキドキしてたら敵のターンになった。

敵のターンになった途端に債務者が3回攻撃でアシュレイとホリエルをぶん殴り

2d6+4ダメージを食らって2人が意識不明になった。

 

「おいいいいーーーー!!!」

「惜しい……!それほどまでの腕を持ちながら何故借金を返せない……」

「ちょっと違うなあ……これほどまでの腕があるから返さなくてもいいんだよ!!」

 

ちょっと気の強い程度のチンピラだと思って殴ってみたら武闘派ヤクザだったでござる。舐めてた相手が東城会四代目!桐生さん!桐生一馬さん!助けて!僕たちを救って!

 

 

するとアイラルの手番になった。

手番になったアイラルは「おや、結構強いですね。しょうがない、ガチャを回しますか」って言いながらバッグ・オヴ・トリックスをゴソゴソやりだした。

 

皆が「え?何いってんですか?」って顔をしてたらアイラルが

「あ、これなにが出てくるかダイスで決める完全ランダムなんで当たり外れがあるんですよねーあ、SRが出ました。狼です」って言ったので

「バッグ・オヴ・トリックス」の呼び名が「動物ガチャ」に変わった。

 

強債務者の横にはダイアウルフが現れた。

敵は想定を遥かに超える強さだったが、2ターン目、アイラルがまたもやガチャでSRを引当て、前線を強力に補強したので皆でひたすら殴り続けて4ターンで債務者は動かなくなった。

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「あ……あぶねえ!マジであぶねえところだった……!」

冷や汗にまみれた一同が肩で息をしていると、債務者がむくりと立ち上がった。

 

「俺は俺こそが最強だと思っていた……強ければ何をしてもいいのだと……」

 

「な……なんだてめえ!まだやんのかよ!」反射的にチンピラと化すヴェルヴェット。

「よせ……それ以上は体が持たんぞ……」圧倒的強者ロールプレイで連戦を避けるアシュレイ。ロールプレイのタイプは違うがどっちも「もう戦いたくないです」と額に書いてあった。

 

「だがお前達と戦って俺は単なる強さを超えた強さがあることを知り、自らの行いを恥じた……金は返す!そして俺はお前達についていく……!俺もお前達と同じくらい気高い戦士になるために……!」

 

なんか一方的に感動的な台詞を喚き立てると債務者クラフは完済者クラフへとクラスチェンジし、ヘンチマンとしてパーティーに加わった。

HP80超え、3回攻撃するヘンチマンである。ぶっちゃけパーティーの誰より強い。

普段であれば「いや、PCより強いヘンチマンとかいらないです」って言うところだったがパーティーは1レベルであり、チャルトは危険に満ちたランダムエンカウントの地である。

使い捨ての効くタンクは何人いても困らない。

完済者クラフは500gpと共に快くパーティーに迎え入れられた。

 

■嵐の恐竜レース 

 

勢いよく逐電、持ち逃げから賭博で増やして10倍コンボを主張するヴェルヴェットを

黙殺してグッドパーティーは報酬50gpを得た。

これでなんとかガイドを雇うことも出来る。

だが、あまりに見苦しい有様でバードがじたばたするので皆も

まあ、ルールがあるんならいっぺんくらい試してみるか、という顔になった。

 

恐竜レースの時間だ!!

 

レースは草食恐竜の部、肉食恐竜の部、と別れているが午後は無制限ルール!

あらゆる恐竜が同じコースを走るなんでもありのデンジャーダービーだ!!!

騎手が判定に成功することで恐竜は進み、その速度も判定難易度も恐竜に寄って違う!

なのでインスピレーションが使えて成功率が高いアシュレイが騎手として出場することになった。

事前にホリエルがガイダンスをかけておき、客席からはヴェルヴェットが

バードの声援を飛ばすことで成功率を跳ね上げる!

正統派のマニューバだがなんだか凄く姑息に感じる作戦だ!!

 

 

厩舎でしばし熟考の末にアシュレイが選んだ恐竜は

アンキロサウルスの「グラングフミツブシ」!!

大抵のやつァ、カエルみてぇに踏んづけてぺしゃんこだ!

オッズは1:1。勝てば掛け金と同じ額の配当が戻って50gpが100gpになる……!!

 

高らかに鳴り響く出走ラッパ。

満員の客席からは怒号の様な声援が沸き起こる。

 

第1のコース!グラングフミツブシ!!アンキロサウルス!!

 

第2のコース!ティラノサウルスレックス!!

ティラノサウルスは手強い相手だ。

非常に足は速いが乗りこなすのが非常に難しいため、判定失敗して進まないことが多く

鞭を入れて達成値が足りないと暴走してレースそっちのけで周りの恐竜を襲い始める事があるのだ。

こいつの隣のコースを走るのは命がけであり、凄腕の騎士たるアシュレイにしか任せられない困難なレースであった。

 

第3のコース!!……ティラノサウルスレックス……!!!

 

ダイス振ったらまたティラノサウルスレックスが出走した。

右もレックス、左もレックスの恐竜物語だ。

挟まれるとブロックでなくても消える。胃袋に。

右に上半身、左に下半身だ。出来れば挟まれたくない。

スタートダッシュが重要だろう。

 

第4のコース!!………ティラノサウルスレックス!!!!

 

あれ?このレースってティラノサウルスレックス限定レースでしたか?

いいえ、ダイス目です。

グラングフミツブシ以外の出走は全部ティラノサウルスだった。

実にレースの75%が暴君竜ティラノサウルス・レックス!!

暴君が3頭で市民の苦難も3倍だ。

この場合の市民とは自己資金を投入して危ない橋を渡っている哀れな1レベルパーティーをさします。

「あー、これはちょっと面白いことになりましたねー」アイラルはのんきだが

ヴェルヴェットは涙目だ。

ホリエルは心配そうな顔で知り合ったばかりの仲間の無事を祈っていたが

僕は財布の無事を祈っていたのではないかと邪な疑いを抱いた。

 

 

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思わぬ地獄と化した恐竜レース。便宜上ミニチュアは全て同じだが実際は自分以外全部ティラノだ。

 

 

 

 

 ただでさえ速く、扱いも難しいティラノ。

初手でティラノサウルスの騎手がムチを使って判定に失敗したら、即生シュラスコ食べ放題になる。食われるのはアシュレイとグラングフミツブシだ。やばい。

 

うおおおおーーーー!!!このレースにかかってるのは金だけじゃない!

 

パーティーのメインタンクの命!しいては世界の運命もこの一戦に賭かっているのだ!

 

判定!第2コースと第4コースのティラノサウルスレックス、判定失敗!

第3コースのティラノサウルス成功!スタートダッシュ

グラングフミツブシ!!判定成功!後を追う!!

第2、第4ティラノサウルス、またしても判定失敗!

もはや優勝レースからは脱落した!

第3コースティラノ判定成功!!ぐんぐんとゴールを目指す!

ヴェルヴェット悲鳴!

第1コース、グラングフミツブシ!判定成功!第3コースのティラノサウルスを猛追する!追い足!!グラングフミツブシ!距離を縮める!グラングフミツブシ!

どんどんスピードが上がる!グラングフミツブシ!グラングフミツブシ!

グラングフミツブシ前に出る!グラングフミツブシ!前に出る!

グラングフミツブシ!並んだ!グラングフツミブシ!並んだ!

グラングフミツブシ!グラングフミツブシ!グラングフミツブシ!抜いた!

グラングフツミブシ!!グラングフミツブシ抜いた!

第3コースのティラノサウルス追いつけない!!

そのままダッシュ!そのままダッシュ!グラングフミツブシ!

グラングフミツブシ!!1等で今!ゴオオオーーーーーール!!!!!

 

 

勝った。

 

大穴の配当に競竜場は震撼し、

配当が入ってパーティー資金が総計300gpを超えた。

なのでアシュレイにスケイルメイルを購入し、残りでガイドを雇うことになった。

 

しばし相談の末に我々のパーティーが選んだ案内人は

ワイルドな雰囲気のアザカ・ストームファング!!

彼女は有能な案内人であり、ファイア・フィンガーというランドマークの位置を知っているという。

アザカはファイア・フィンガーでなくしてしまった家宝のマスクを探していると

一行に語った。それを取り戻すことが出来れば嬉しいと。

だが別に取り戻したらお礼をくれるとかそういうことは言わなかった。

おのれ。

 

 

 

かくしてガイドを得た一行はチャルトのジャングルに旅立った。

この後いきなり迷子になってアンデッド多発地帯に迷い込んだり

伝説の猿の橋を渡ったり、恐ろしい女王の住まう滅びた王国の離宮に迷い込んだり

しながら彼らは魂を喰らう墓へと潜入し、恐るべき運命と出会ったのだが

物語の結末はまだ世界の果ての霧の中。

続きは君の目で確かめてみてくれ!(ゲームと同時発売の中途半端な攻略本方式)

 

……書いてから思ったけど今そういう商売ってなさそうな気がする。

攻略Wiki作って広告収入を得るビジネスに置き換わってしまっているのではないか。

ああ、時よ。時代よ。金の流れよ。お前はどこまでも滔々と流れて俺の財布を滑り落ち、これっぽっちも留まろうとはしない。

 

――散漫に終わり――

 

 

 

 

 

 

 

*1:読んで遊んでみたくなったら…とか言ってた前書きと完全に矛盾しているが指摘された場合僕は「わーわー聞こえない」って言います。

*2:ちょろい仕事

『Warhammer40000:KILLTEAM』クラエヴァーン特務分隊登場の巻

近場で場所を借りてかなり神経質なセッティングのもと、ワクチン接種済みの二人で念願のキルチーム(2021年版)を遊んだ。

約1年ぶりの対面ゲームであり実体ダイスを振るのもそれくらいぶりだ。

 

キルチーム!!!

暗黒の遠未来、人類帝国は滅亡の危機に瀕していた。

押し寄せる銀河列強!敵性宇宙生命体!人の運命を弄ぶ渾沌の神々に叛逆者!

もういっぱいいっぱいになった人類は超抑圧的な全体主義軍事帝国の管理のもと

かろうじて存続し、終わりなき戦いを繰り広げていた。

 

百万の星々に数億の戦場があり、数兆の兵士達が決死の不可能作戦に投入される。

そんな『Warhammer40000』の宇宙を舞台にしたスカーミッシュコンバットを遊ぶ小規模小競り合いミニチュアゲームなのだ。

 

 

 

■自軍キルチームの紹介

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クラエヴァーン特務分隊

所属:デスコーア・オヴ・クリーグ 第179連隊

クリーグ星の決死兵団に属するこのキルチームは

クラエヴァーン軍曹を筆頭に全員が死刑囚の懲罰部隊だ。

放免を条件に生還率極小の不可能作戦に投入されるメンバー達は凄腕ぞろい。

ところで僕は小隊と分隊の区別もイマイチよくついてない。

 

 

イカれたメンバーを紹介するぜ!!!

 

 

サージェント:クラエヴァーン 連隊きっての切れ者との評判をとるが、切れすぎた。 


スナイパー:ジュルテン 無能な上官を”誤射”して軍法会議送りに。紅茶を偏愛。


スポッター:ケイスト 無能な上官の真上に爆撃を指示して処刑されそうになったところをスカウト。なお当該事件における死者は1名、負傷者は0。コーヒー派。


コムズ:カビル 上官が綴りを間違え続けるのにキレて頭をカチ割る。字が読めるのがバレたため不正学習の罪で死刑。 

 

メディック:アルニム 負傷しながらも全員特攻を命じようとする上官を”壊疽から助けるため”首を切断して軍法会議送りに。


ジーロット:ヴァーポック 皇帝礼賛の聖句を唱え間違えたという理由で上官を扼殺。銃殺刑に処されるも5発では死ななかったため懲罰部隊に。罪状は軍事物資浪費罪(ラスガン1発分で労役10年)


ハーデント:スタグラー 自殺特攻を命じた上官をひっ掴んで特攻。大戦果を挙げ上官は戦死。本人は生還した為、命令未達の罪で極刑に。 


ガンナー/メルタガン:ジェント 有毒ガスの充満する車内に閉じ込められた味方を助ける為に自軍の戦車を破壊して有罪。


ガンナー/フレイマー:ボザンコ 恨み重なる上官の横流し物資を燃やして灰にしたが、ブツが麻薬だったため部隊全員がトンでしまった。死刑。


ガンナー/グレネードランチャー:ヴァンチョック 数字が苦手で3までしか数えられない。上官から「10秒後に爆破せよ」との命令を受け死刑囚に。

 

以上十名! 

今日も無茶な戦場が俺達を待ってるぜ(なんか勇ましい音楽)。

 

※プレイ形式はナラティヴプレイ。

戦場プランはコアブックの重大作戦パック2.1「加熱する敵意」を使用。

 

それは誤算から始まった。

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オクタリウス星系のとある惑星。制圧済み敵拠点にて

「隊長、なんでわざわざこんな拠点の巡回任務なんかが回ってきたんです?」

「絶対善意からじゃないのは確かだが……金ぴか組の頭の中を理解しようとしても無駄よ無駄」

若干ゆるめのクラエヴァーン隊がキルゾーンに足を踏み入れた瞬間、スポッターのケイストが鋭く告げる。

「侵入者発見!1……2……でかいぞ!しかも速い!!」

「敵は……アデプトゥス・アスタルテス!!大逆兵団か!?」

「まだ増えるぞ!3……4……!」
「畜生!直接軌道降下だ!ありゃケイオスじゃねえ!!味方側のプライマリス・レイヴァーだ!」
「なんで味方の筈のスペースマリーンが俺たちの所に!?」

 

キルチームが大騒ぎしてたら第1ターンに敵の戦術目標カードが開示され

「人質救出」の任務をおっている事がわかった。

同時にこちら側の陣地内に救出対象の人質トークンがポップアップした。

「ちょwww」

「誰wwwww」

「知らねえ奴wwww」

 

「畜生!!どうやらはめられたぞ!!」

一しきりパニクったののち、軍曹が一声叫んだので

クラエヴァーン特務分隊は何者かに濡れ衣を着せられて精鋭中の精鋭

スペースマリーン・レイヴァーの潜入救出部隊と交戦する羽目になった…ということに。

敵は死の天使。言い訳とかはあんまり聞いてくれない。

「あのー!僕ら別に人質をどうこうしようって気はなくてですね」

 

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「任務を……遂行する……」

駄目そうだ。やるしかない。

 

 

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ガンナーのジェント、戦術目標確保のために必死で走る。

「ひいいい!!死ぬ!死ぬ!」

ジェンコーッ!!遮蔽に飛び込め―ッ!!」

部隊でただ一人、仲間を助ける為に行動して死刑判決を受けた心正しき青年ジェンコが初期配置ミスをリカバリするために無茶なダッシュを強要された。

 

「ドウン!ドウン!ドウン!!」特殊仕様ボルトピストルの重い銃声が腸を震わせる。

一発貰ってライフが半減したが何とか生き延びた。

 

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「待ってろ……今そいつを仕留めてやる……」

すかさずカヴァーに入ったスナイパーのジュルテンがジェンコを追うレイヴァーを狙撃する。

戦場を貫くロングラス・ライフルの閃光!!

 

あっさりはじかれまんた。

 

「ああっ!強化装甲服怖い!!」

 

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「大丈夫だ……奴の銃じゃここまでは届かねえ……」

 

一方そのころ、スタグラーを中心にした4人がバリケードに陣取り、接近してくるレイヴァーと対峙していた。

「奴が接近してくるまでに俺達は何発撃てると思う?ハチの巣だぜ!」

 

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「あの重装甲でなんて身のこなしだ!」

とか油断してたら超人兵士特有の物凄い移動力で距離が詰められ、バリケードの内側に手榴弾が投げ込まれた。

「ウッギャーーー!!キン肉マン!!」

 

 

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「なんか向こうはえらいことになってるなあ……」

あっという間に戦場のカオスと殺戮がまき散らされる。

クラエヴァーンが呆然としてたらこっちにもレイヴァーが走ってきた。

「う、うわああ!ヒットマンじゃ!!」

「まだ死にたくねえ!」

「あ、くそ!俺を押し出すな!!」

 

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「こうなりゃヤケど!ヒットマンがなんぼのもんじゃーーー!!!」

半泣きでプラズマピストルをぶっぱしたらクリティカルが出てレイヴァーは倒れた。

大金星である。

「やった!やったど!」

「見たかー!これが隊長の実力じゃー!!」

怯え切っていた部下も手のひらを返した。

 

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「よ、よし。この射程なら私のホットショット・ラスガンが有利だ」

熱烈な人類皇帝崇拝者であるヴァーポックもまた長い距離を挟んでレイヴァーと対峙していた。彼のラスガンには通常より高圧のエネルギーパックが装填されている。

距離を生かして全弾当てれば如何にスペースマリーンといえども無事では済まない。

だが必中を期すには心の安定が必要だ。唱え慣れた祈りが口をつく。

「神たる皇帝陛下は言われた……」

 

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シュンッ!!

「……この…糞野郎……」

「任務を遂行する……」

 

刃渡り一メートル近いナイフが閃くとヴァーポックは三分割された。

 

 

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「1、2、3……1、2……3!!!」

グレネードランチャー担当のヴァンチョックは数字が苦手で3以上の数を数えられない。なので「いいか、俺の3MV以内に敵が来たらそいつを対装甲グレネードで撃つんだぞ」ってクラエヴァーンから優しく言われていた。

そして今彼の目前でヴァーポックを殺った敵が敵の銃火を恐れて遮蔽に飛び込んできたクラエヴァーンに迫っていた。

「3!!!」

 

満を持して発射されるクラック・グレネード!!

 

「カンッ!」

 

甲高い音を立ててグレネードは装甲表面を滑り、跳ね上がり、近くの構造体に当たって爆発した。演出は長いがつまり敵はノーダメージだ。

 

「3……」ヴァンチョックの哀しげな呻きが戦場に落ちた。

 

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ドウン!ドウン!恐るべきボルトピストルの銃声が連続する。

ボルトピストルの弾丸はロケット推進する質量反応弾である。

当たれば人間の胴体には大穴が空き、掠っただけでも手足が吹っ飛ぶ。

そんな化け物みたいな銃を片手で連射しながらレイヴァーがジェントに迫っていた。

2メートルを超える巨体をフォボス型パワーアーマーに包み、一歩毎に筋肉とセラマイト合金の大質量が大地に深々と足跡を刻む。だがその動きに鈍重さはなく、銃口も吸い付くようにジェントに向けられたまま安定していた。

 

「このままじゃ俺か隊長のどっちかがやられる……やったらあああ!!」

 

このタイミングでレイヴァーのダイス目が滑った。

さらに遮蔽にかがみ込んで戦術ポイントでロール振りなおしまでしたジェントはクリティカルでダメージセーブに成功。生き延びたのだ。

そして生き延びてしまえばジェントの武器はメルタガンである。

ピストルと同じ短射程武器ながら、当たれば戦車だって吹っ飛ばす皇帝陛下から賜りし神の銃だ。メルタ。嗚呼メルタ。僕はメルタを愛している。メルタの射程が視界ならいいのに。出来れば僕のメルタだけ。

 

熱線だか溶解重金属だか重粒子ビームだかよくしらないけどなんか致命的なものが銃口からほとばしり、ジェントの死神は倒れた。紙一重で彼は命を拾ったのだ。

嗚呼メルタ。銃に名前を付けるべきだろうか。

 

 

 

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死神の銃口がヴァンチョックへと向く。

衝撃。

被弾。

ボルト弾がヴァンチョックの質量に反応してさく裂する。

 

ヴァンチョックの残りライフは2。回避ダイスは3だ。

 

「3!…3!……3!!」

 

「あ、特殊仕様ボルトピストルは貫通1なので回避に振れるダイスは1減ります」

 

「2ィーー!!」

 

2成功!!回避!!

 

「3!!」固唾を飲んで見守る仲間を振り向くとヴァンチョックは最高にいい笑顔で笑った。

 

 

「あ、すみません。こいつリーダーだから命中値高いわ。もう2ヒット追加で」

 

ヴァンチョックがいい笑顔で「3!」って振り向いた構図のままカメラが下がったら胸に大穴が開いていた。

 

「3……」

 

ヴァンチョック、死す。

 

 

このあとスタグラーの首が飛んだり、クラエヴァーンが真っ二つにされたと見せかけて発信機が取り付けられたので敵の勝利ポイント1と引き換えに実は生きていたりしたが、開始から約3時間、第2ターニングポイント半ばで時間切れになった。

この時点のVP集計が行われ、結果は4対3で1点差。

クラエヴァーン分隊の辛勝だ。やったー!!初陣勝利だよー!!

 

敵に長射程のボルトカービンを装備したレイヴァーが居なかったのがでかかったが

帰り際にプレイヤーが「次はカービン組み立ててくるわ」と言い残したので未来に暗雲が立ち込めた。怖え。

 

評判良かったけどやっぱり新キルチームは暴力的に面白かった。

ただルールの確認しつつの初回プレイとはいえ3時間で半分も行ってないので

短時間で手軽にプレイとかできるのだろうか……って顔になったわ。

ちなみにわたくしは他のミニチュアゲームやってもルール確認に手間取って時間切れになりがちマン!!

 

5体編成のスペースマリーンはともかく、数が多い勢力のプレイヤーは長考控えめとかの配慮があった方がいいかもしれないとは思ったが、この辺りの議論は熟練プレイヤーの間である程度結論出てそうなので、思っただけにとどめる。

 

ルールは見事な出来だが記述が法律用語か哲学書かって複雑さでわたくしの様なミニチュアゲームプレイ経験があまり多くなく、RPGと違うルールの記述方式に慣れていないプレイヤーが理解するのには時間がかかった。

「○○は××である」「■■は△である」「◎×は◇である」みたいな定義の記述が多く、「ってことは全部を組み合わせて考えると〇●△×ってこと?」等と読んで考えないと処理の結論が出ないパターンが多いのだ。

これは翻訳よりも原文が分かりにくいせいであろう、という意見を見たので、思ったより時間のかかってるFAQ次第で遊びやすくなるのではないかと思う。

 

初回のおっかなびっくりプレイでこの面白さなので今後も隙を見ては遊んでいきたいわ。傑作よー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BattleTech2020

バトルテック』をプレイした。

SNEが翻訳していた前の版はちょっと遊んだことがあるだけで、超うろ覚え

思い出の中ではルールがやたら重くて大変、くらいのイメージだったのだ。

が、なにこれ今遊ぶとむちゃくちゃ面白いじゃないのさ!

今日遊んだのはCatalystGameが出してる最新版

『battletech a game of armored combat』

全部英語だが極一部の処理(重量別追加特徴とか2脚メックのキック周りとか)を除いてほとんど前と変わってないっぽいので昔遊んでた人は割とスムーズに遊べる。

(僕は昔遊びこんでた人にサポートしてもらいました)

ちなみに僕が現行版のパッケージを手に入れるまでにはCatalystgamelaboのサイトで

通販を申し込み、盛大に事故ってカスタマーサポートに連絡をつけるまでに2ヶ月。

ブツを手元に送ってもらうまでに実に半年を有したのだが、ゲームの面白さには特に関係はない……

 

初陣で部隊が壊滅してしまった新兵が敵中を突破して自陣への帰還を目指している。 父から受け継いだ「バトルマスター」85トン(最強クラスのメック。武器が沢山付いている。重い。超強い)と厳しい訓練が彼を生き残らせたのだ。あとなんか運命とか幸運が味方し、パートナーがバランシェ・ファティマとかだった。*1

逃さじと前方に立ち塞がるのは

指揮官機でコックピットが狭いウルヴァリン!(55トン)

近距離の殺し屋コマンドー!(25トン)

逆関節2脚の稲妻ローカスト!(20トン)

総重量100トンの追撃部隊だ。

 

「久々の実戦だ…奴の機体を頂いて華々しく中央に返り咲くぜ」

「操縦席を狙え!貴重な機体に傷をつけるなよ!」

 

ついつい開始前から蹴散らされる雑魚っぽい言動を漏らして死亡フラグを立て始めるプレイヤー達。

 

「ククク…軽量級メックの恐ろしさを教えてやるよ!」

 

恐るべき12ヘックスの全力移動で射界を逃れ、死角から殺到するローカスト!

機動力で撹乱してバトルマスターの火力を発揮させない作戦だ。

うっそ20トンメックって上手く使うとこんな強いの?

すみません、罰ゲーム級の弱機体だとばっかり思ってましたあ!

 

「可哀想だねえ…足の遅い強襲用メックはさァ!」

 

軽量級とはいえローカストが自らを砲弾と化して体当りすればそれすなわち総重量20トンの質量兵器。バトルマスターの巨体が揺れる。

 

「ファティマ!報告しろ!敵は騎士の戦いを知っている!」

 

会話が噛み合ってない気もするが、敵味方で通信とかしてないから…

ローカストが足を止めて作った時間で肉薄したコマンドーが両腕のミサイルランチャーを叩き込む。 すみません、この機体も僕使い方を理解してませんでしたあー!

なんか微妙に洗練されてない哀れな機体だとばかり……敵弾を掻い潜って至近距離で最大火力をぶちまける超イカスメックだった。

 

「ファティマ!下半身の制御は任せた!」

 

敵のパイロットがなんかコックピットの上方向を

向いて叫んだら坊やだと思っていた機体が急にこなれた動きを始めた。上体を捻りながら巧みに発射される右腕粒子ビーム砲!死角を守る背面中口径レーザー2門! 軽量メックの火力では分厚い装甲を削りきれない。

 

「俺ならバトルマスターを空から攻めるね!」

 

参戦機体中唯一ジャンプジェットを装備して空中機動が可能な指揮官機ウルヴァリンがついに戦線に合流した。

 

「うおぉぉ~!SHINEE~~!!!」

 

荒れ狂う中口径レーザー!中口径レーザー!小型6連発ミサイルポッド!大口径レーザー!

全部外れた。 「こ!この餓鬼…!」

 

「どんどん動きが鋭く…強力な機体が…いや違う!あのファティマが戦いの中で奴を超一流の

メックウォーリアに育て上げたのか!」

 

自分のミスを共有幻想で誤魔化すウルヴァリンパイロット。

機体制御がバランシェ・ファティマなら攻撃が外れてもしょうがないじゃない?

だがそんな茶番に逃げ込んでいる内に味方の2機はぼろぼろだ。

2度めの突撃を敢行したローカストがついにバトルマスターの装甲を貫いてジャイロを破損させるも反撃で木っ端微塵に。

とどめを刺さんと肉薄したコマンドーも報復攻撃で脚部を破壊されて転倒。山岳地帯で立ち往生だ。 連携も遮蔽もないウルヴァリンが突っ込んでも勝ち目は薄い。

 

「すまん!一旦引く!」

 

「せめてこいつにあと一撃……!」

 

擱座し左腕を失ったコマンドー。フレームを軋ませながら残った右腕のミサイルを構えるも

リーダーがイニシアチブで負けたので射撃はバトルマスターからになった。

山岳地帯の反対側に回り込んで完全遮蔽を取ったウルヴァリンの耳に壮絶な砲撃音が響き、コマンドーとの通信が途絶える。

 

「奴は化け物か…」

 

「うーん、こういう時手を抜くのは良くないから全弾発射だ。中口径レーザー!中口径レーザー!えい!とうっ!粒子ビーム砲!アチョー!あ、ついでにマシンガン2門も撃っておこう」

チュドチュドド、ズキューン!ドガガガ! 宣言が爽やかな割に行為と結果は凄惨だ。

コマンドーは跡形も残らなかった。

だがここまでの戦いでバトルマスターの装甲もほぼ破損、ジャイロに被弾したことで移動力低下、更に生命維持装置に深刻な故障が発生して火力を行使する度に発生する熱でパイロットも満身創痍だ。

 

「そろそろ汚れたコックピットも綺麗にしてやりたい頃合いだしな…」

 

何処までもFSS*2仕草は続く。

 

「これで終わりだあ!」

 

遮蔽から飛び出して空中で全火力をオープンにするウルヴァリン

ミサイル2発が続けざまにコックピットにヒット。

パイロットにダメージが入る。

 

「よし!これで奴は自らの発する熱で自分を殺す!焼け死ぬが良い!!」

 

続けて発射された大口径レーザーが胴体のミサイル弾薬庫を直撃。残弾に引火して炎に包まれるバトルマスター

 

「やったか!」

 

我慢できなくてつい口走ったウルヴァリンの前でバトルマスターがゆっくりと動き出す。

パイロットの残り耐久力1。装甲、フレーム共に耐久限界ギリギリ。だが、まだ動く。

 

「やっと判ったよファティマ…これが騎士の戦い…」

 

最後のイニシアティブを制したのはバトルマスターだ。

右腕の粒子ビーム砲がゆっくりと構えられ、発光を伴いながら粒子の充填が始まる。

 

「糞ったれが舐めやがって……こうなったら一か八か機体をぶつけてやる!」

 

55トンがジャンプして踏んづければダメージ15が上体に集中する。

こちらの装甲はまだ半分以上残っている。

 

PPCが!なんだってんだよぉ!」

 

スローモーションでウルヴァリンが飛び掛かったら背景が不吉な灰色になり

不吉なBGMとSEが流れて粒子ビームがコックピットを直撃した。

 

パイロット即死。 「ああっ!」

 

スローモーションで主役メカに飛び掛かったら着地シーンはない。

そんな基本的なことも忘れたウルヴァリンは空中で火球になって爆散した。 地団駄を踏むプレイヤーを前に〆に入るバトルマスター

 

「ファティマ…一人の騎士を一人前にするには……三人の騎士の命を必要とするんだ……」記憶にあるより大盛りだ。騎士の黄昏は近い。

 

ビームとミサイルと寝言が飛び交う戦場をたっぷり遊んで3時間半。超面白かった…… いいゲームねえバトルテック。今回使わなかった他のメックも使ってみたいし、自分で設計するところから遊んでみたくもある。あと次は僕もFSSごっこしたい(白状)

 

更に正直に白状すれば昔遊んだ時はこのゲームのルールも設計もちゃんと理解できてなかったわ。

なんかやたら攻撃が外れる上に当たっても爽快感がないし

急に爆発とかする上、時間ばかりかかる対戦ゲーム(これもネックだった)だと思っていた。

なので軽量級メックの使い方とか全然判ってなかったし

「重量級を倒せないのなら選択するのは意味がない」とか思ってたのよね。

どっこい大人になってから遊んでみると全然そんなことはなくて

機動戦闘を可能にする脚力には十二分なアドバンテージがあるし

そもそも総重量のデカい強襲型メックを足止めできるだけで戦術的には大きな貢献なのだった。

 

あと、ルールの重さは細かいシチュエーションを描き出すし

一発一発の命中率が低いのはプレイヤー毎の手数が多いからいい塩梅になる。

そしてすぐに撃墜されないメックは鉄の塊同士の不毛で勇壮な殴り合いを

ビームやミサイルをぶっつけ合い、装甲の破片を飛び散らせながら激突する

エキサイティングな戦闘を十二分に味わうためだと感じたわ。

 

 

やはりウォーハンマー(メックじゃなくてミニチュアゲームのほうだ)をプレイする様になってインストールされた概念の数々が

だいぶ理解の助けになってくれた感はあるわね。

兵科毎のユニットの役割とか、コストパフォーマンスとか

必ずしも勝敗や公平な条件に拘らずにドラマを楽しむナラティヴプレイの概念とか

 

あと付属マップの出来が良い気がする。

遮蔽になる山や林、機体の冷却を助ける湖の分布バランスが綺麗だし

戦場のシチュエーションを指定するシナリオもシンプルながら格好良くて没入感が高い。

 

ちまちま遊んでいきたいわね。

銀河の歴史がまた1ページ……

 

 

 

 

 

 

 

*1:念の為言っておくとBattleTechにファティマの設定はない。ない筈だ。だがこの戦場に我々は確かにファティマの影を見たのだ

*2:ファイブスターストーリーズ

エイダン・トルーヘン著 三角和代訳 七人の暗殺者

 

七人の暗殺者 (ハヤカワ文庫NV)

七人の暗殺者 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

ドラッグ・ディーラーのジャック・プライスの階下に住む老婆が何者かに殺された。

頭のおかしい婆さんだったし、好きでもなんでもなかった。

でも、彼女が死んだのはジャックの部屋の真下で、ジャックの縄張りで

彼のビジネスと、ブランドと、安全保障と、心の平穏に極めて大きな影響があった。

 

調査を始めたジャックは暴漢達の襲撃を受け、ボコボコにされる。

「忘れろ」

忘れられるか馬鹿野郎。

更に追いすがるジャックさんに衝撃の情報がもたらされる。

彼を消すために殺し屋が雇われた。

「ゼヴン・デーモンズ」

世界最悪にして最高峰の7人。

大統領を暗殺したり、国家を転覆したりさせる時に雇われる

プロフェッショナル中のプロフェッショナルだ。

じゃあな、ジャック。もう連絡しないでくれ。

 

 

あたまがおかしい。

そこまでやるか。

明らかに常軌を逸している。

一体何でそんな事を。

 

 

でも実はもっと常軌を逸して頭のおかしい事実が一つあって

 

それは

 

他ならぬジャックさんがジョーカーの狂気とレックス・ルーサーの知性を併せ持つ

頭のおかしいスーパーヴィランだった事なのです。

 

あーあ、やられちゃったー!

ここまでやられたら俺も生きるためには必死にならざるを得ないから

しょうがないよな!!

 

ジャックさんの常軌を逸して悪辣な反撃が始まる!!

 

自分に繋がる情報を持った仲間の頭部バズーカ!

鉄格子with剃刀スーツをまとって目に入るものを全て殴りつけるアーマード狂人!!

中沢啓治の怪作『進め!!ドンガンデン』みたいだ)

フラッシュモブ・プロポーズ液体窒素ドローン!!

 

なんでそんな面白い以外に何の意味もない手口ばっかり繰り出すの!!

 

しょうがないだろ!生き延びるためなんだから!

 

常に怒る理由を探している不機嫌なおじさんみたいな理屈で狂気をぶちまけて

仰天するほど悪趣味な攻撃を矢継ぎ早に繰り出すジャックさん。

 

当座の資金を得るためだけの為に人狩り趣味の暗黒大富豪を殺したりする。

(普通はラスボス枠なんだけど唐突に出てきて1ページくらいであっさり殺られる)

目的と手段が逆転しており、この辺に来るともう殺された老婆も

なんで自分が狙われたのかもどうでもよくなっており

どこまで手口をエスカレート出来るかのチキンレースみたいな有様だ。

 

全く感情移入できないマッドメンが暴れまくる話。だがやたら面白い。

 

文体にも無茶苦茶癖があり、かなり読みにくいんだけど

細かい事を考えずに浴びるように読み、理解不能な箇所は斜め読みしたら

いい塩梅にリズムに乗れた。多分翻訳者の腕が凄い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キム・ニューマン著 北原尚彦訳 モリアーティ秘録

 

モリアーティ秘録〈上〉 (創元推理文庫)

モリアーティ秘録〈上〉 (創元推理文庫)

 

 

 

モリアーティ秘録〈下〉 (創元推理文庫)

モリアーティ秘録〈下〉 (創元推理文庫)

 

 

 

伝説的人食い虎との戦いで負傷したセバスチャン・”バッシャー”モラン大佐は

英国へと帰国するが、彼を待ち受けていたのは恐るべき主人との運命的出会いであった。

 

これは長年に渡って巨悪モリアーティ教授の腹心を務めたモラン大佐の回顧録である。

 

ろくでもない悪党が、マスターマインドヴィランと出会い、彼の手足として

数々の難事件を遂行する!解決するよりは企む側が多い。悪党だから。

 

モラン大佐はイメージ通りの粗暴でスリルジャンキーの人間嫌いマンであり

モリアーティの提供するスリルに魅せられたかのように彼の計画を着々と(不平を漏らしまくりながら)遂行するのだ。

 

モリアーティのタイプは『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルマン』に出てくる感じのやつだ。(登場人物も一部被っている)

冷酷で、人間に興味がなく、彼の頭脳を目まぐるしく働かせる際は、蛇のようにゆっくりと頭を揺らす癖がある。

馬鹿にされるとマジギレして相手を陥れるためだけにおもしろ犯罪計画を立案したりする。あと、自分のイメージを強化するためにスケジュール帳とかメモとか使わないフリをしている。思ったより人間的だ。

 

 

シャーロック・ホームズの登場人物をちゃんと覚えている人が読むと物凄く面白いと思う。

だが僕が知ってるのはホームズ、ワトソン、ハドソン、レストレード、モリアーティ、モラン、辺りだ。そしてホームズとワトソンはほぼ最終話にしか出てこないし、ハドソン夫人とレストレード警部に至っては出番がない。

なので最終話のライヘンバッハの別視点、という趣向は僕には豚に真珠であったし

モラン大佐の英国的皮肉と当てこすりにみちた独白の数々がより全体の把握を困難にした。

なんか誰かが誰かになりすましてそれを誰かが追ってて、誰かが死んだと思ったらそれは別人だったりした。登場人物たちは同時代を舞台にする小説や映画やドラマのキャラクターらしいのだが、それらの作品群にきれいに触れていなかった僕にはまるでわからず、きいい!くやしい!きい!くやしいわ!という気持ち。

結構目が滑ってしまって読み切るのにやたら時間がかかった。

 

 

同作者の『ドラキュラ紀元』のシリーズはなんとかなったので、これは守備範囲外ゆえの悲劇だったと思いたい。

 

ウィリアム・ホープ・ホジスンの『幽霊狩人カーナッキ』がちらっと顔を見せておりモラン大佐が彼のことを、いかにも話がダラダラ長い得意満面野郎的な描写をするくせに、カーナッキの講演会に通ってたり、彼の冒険にやたら詳しかったり、内心相手をヒーローだと認めてたりする描写が段階的に明かされるのがかっこよかった。