BattleTech2020
『バトルテック』をプレイした。
SNEが翻訳していた前の版はちょっと遊んだことがあるだけで、超うろ覚え
思い出の中ではルールがやたら重くて大変、くらいのイメージだったのだ。
が、なにこれ今遊ぶとむちゃくちゃ面白いじゃないのさ!
今日遊んだのはCatalystGameが出してる最新版
『battletech a game of armored combat』
全部英語だが極一部の処理(重量別追加特徴とか2脚メックのキック周りとか)を除いてほとんど前と変わってないっぽいので昔遊んでた人は割とスムーズに遊べる。
(僕は昔遊びこんでた人にサポートしてもらいました)
ちなみに僕が現行版のパッケージを手に入れるまでにはCatalystgamelaboのサイトで
通販を申し込み、盛大に事故ってカスタマーサポートに連絡をつけるまでに2ヶ月。
ブツを手元に送ってもらうまでに実に半年を有したのだが、ゲームの面白さには特に関係はない……
初陣で部隊が壊滅してしまった新兵が敵中を突破して自陣への帰還を目指している。 父から受け継いだ「バトルマスター」85トン(最強クラスのメック。武器が沢山付いている。重い。超強い)と厳しい訓練が彼を生き残らせたのだ。あとなんか運命とか幸運が味方し、パートナーがバランシェ・ファティマとかだった。*1
逃さじと前方に立ち塞がるのは
指揮官機でコックピットが狭いウルヴァリン!(55トン)
近距離の殺し屋コマンドー!(25トン)
逆関節2脚の稲妻ローカスト!(20トン)
総重量100トンの追撃部隊だ。
「久々の実戦だ…奴の機体を頂いて華々しく中央に返り咲くぜ」
「操縦席を狙え!貴重な機体に傷をつけるなよ!」
ついつい開始前から蹴散らされる雑魚っぽい言動を漏らして死亡フラグを立て始めるプレイヤー達。
「ククク…軽量級メックの恐ろしさを教えてやるよ!」
恐るべき12ヘックスの全力移動で射界を逃れ、死角から殺到するローカスト!
機動力で撹乱してバトルマスターの火力を発揮させない作戦だ。
うっそ20トンメックって上手く使うとこんな強いの?
すみません、罰ゲーム級の弱機体だとばっかり思ってましたあ!
「可哀想だねえ…足の遅い強襲用メックはさァ!」
軽量級とはいえローカストが自らを砲弾と化して体当りすればそれすなわち総重量20トンの質量兵器。バトルマスターの巨体が揺れる。
「ファティマ!報告しろ!敵は騎士の戦いを知っている!」
会話が噛み合ってない気もするが、敵味方で通信とかしてないから…
ローカストが足を止めて作った時間で肉薄したコマンドーが両腕のミサイルランチャーを叩き込む。 すみません、この機体も僕使い方を理解してませんでしたあー!
なんか微妙に洗練されてない哀れな機体だとばかり……敵弾を掻い潜って至近距離で最大火力をぶちまける超イカスメックだった。
「ファティマ!下半身の制御は任せた!」
敵のパイロットがなんかコックピットの上方向を
向いて叫んだら坊やだと思っていた機体が急にこなれた動きを始めた。上体を捻りながら巧みに発射される右腕粒子ビーム砲!死角を守る背面中口径レーザー2門! 軽量メックの火力では分厚い装甲を削りきれない。
「俺ならバトルマスターを空から攻めるね!」
参戦機体中唯一ジャンプジェットを装備して空中機動が可能な指揮官機ウルヴァリンがついに戦線に合流した。
「うおぉぉ~!SHINEE~~!!!」
荒れ狂う中口径レーザー!中口径レーザー!小型6連発ミサイルポッド!大口径レーザー!
全部外れた。 「こ!この餓鬼…!」
「どんどん動きが鋭く…強力な機体が…いや違う!あのファティマが戦いの中で奴を超一流の
メックウォーリアに育て上げたのか!」
機体制御がバランシェ・ファティマなら攻撃が外れてもしょうがないじゃない?
だがそんな茶番に逃げ込んでいる内に味方の2機はぼろぼろだ。
2度めの突撃を敢行したローカストがついにバトルマスターの装甲を貫いてジャイロを破損させるも反撃で木っ端微塵に。
とどめを刺さんと肉薄したコマンドーも報復攻撃で脚部を破壊されて転倒。山岳地帯で立ち往生だ。 連携も遮蔽もないウルヴァリンが突っ込んでも勝ち目は薄い。
「すまん!一旦引く!」
「せめてこいつにあと一撃……!」
擱座し左腕を失ったコマンドー。フレームを軋ませながら残った右腕のミサイルを構えるも
リーダーがイニシアチブで負けたので射撃はバトルマスターからになった。
山岳地帯の反対側に回り込んで完全遮蔽を取ったウルヴァリンの耳に壮絶な砲撃音が響き、コマンドーとの通信が途絶える。
「奴は化け物か…」
「うーん、こういう時手を抜くのは良くないから全弾発射だ。中口径レーザー!中口径レーザー!えい!とうっ!粒子ビーム砲!アチョー!あ、ついでにマシンガン2門も撃っておこう」
チュドチュドド、ズキューン!ドガガガ! 宣言が爽やかな割に行為と結果は凄惨だ。
コマンドーは跡形も残らなかった。
だがここまでの戦いでバトルマスターの装甲もほぼ破損、ジャイロに被弾したことで移動力低下、更に生命維持装置に深刻な故障が発生して火力を行使する度に発生する熱でパイロットも満身創痍だ。
「そろそろ汚れたコックピットも綺麗にしてやりたい頃合いだしな…」
何処までもFSS*2仕草は続く。
「これで終わりだあ!」
遮蔽から飛び出して空中で全火力をオープンにするウルヴァリン。
ミサイル2発が続けざまにコックピットにヒット。
パイロットにダメージが入る。
「よし!これで奴は自らの発する熱で自分を殺す!焼け死ぬが良い!!」
続けて発射された大口径レーザーが胴体のミサイル弾薬庫を直撃。残弾に引火して炎に包まれるバトルマスター
「やったか!」
我慢できなくてつい口走ったウルヴァリンの前でバトルマスターがゆっくりと動き出す。
パイロットの残り耐久力1。装甲、フレーム共に耐久限界ギリギリ。だが、まだ動く。
「やっと判ったよファティマ…これが騎士の戦い…」
最後のイニシアティブを制したのはバトルマスターだ。
右腕の粒子ビーム砲がゆっくりと構えられ、発光を伴いながら粒子の充填が始まる。
「糞ったれが舐めやがって……こうなったら一か八か機体をぶつけてやる!」
55トンがジャンプして踏んづければダメージ15が上体に集中する。
こちらの装甲はまだ半分以上残っている。
「PPCが!なんだってんだよぉ!」
スローモーションでウルヴァリンが飛び掛かったら背景が不吉な灰色になり
不吉なBGMとSEが流れて粒子ビームがコックピットを直撃した。
パイロット即死。 「ああっ!」
スローモーションで主役メカに飛び掛かったら着地シーンはない。
そんな基本的なことも忘れたウルヴァリンは空中で火球になって爆散した。 地団駄を踏むプレイヤーを前に〆に入るバトルマスター。
「ファティマ…一人の騎士を一人前にするには……三人の騎士の命を必要とするんだ……」記憶にあるより大盛りだ。騎士の黄昏は近い。
ビームとミサイルと寝言が飛び交う戦場をたっぷり遊んで3時間半。超面白かった…… いいゲームねえバトルテック。今回使わなかった他のメックも使ってみたいし、自分で設計するところから遊んでみたくもある。あと次は僕もFSSごっこしたい(白状)
更に正直に白状すれば昔遊んだ時はこのゲームのルールも設計もちゃんと理解できてなかったわ。
なんかやたら攻撃が外れる上に当たっても爽快感がないし
急に爆発とかする上、時間ばかりかかる対戦ゲーム(これもネックだった)だと思っていた。
なので軽量級メックの使い方とか全然判ってなかったし
「重量級を倒せないのなら選択するのは意味がない」とか思ってたのよね。
どっこい大人になってから遊んでみると全然そんなことはなくて
機動戦闘を可能にする脚力には十二分なアドバンテージがあるし
そもそも総重量のデカい強襲型メックを足止めできるだけで戦術的には大きな貢献なのだった。
あと、ルールの重さは細かいシチュエーションを描き出すし
一発一発の命中率が低いのはプレイヤー毎の手数が多いからいい塩梅になる。
そしてすぐに撃墜されないメックは鉄の塊同士の不毛で勇壮な殴り合いを
ビームやミサイルをぶっつけ合い、装甲の破片を飛び散らせながら激突する
エキサイティングな戦闘を十二分に味わうためだと感じたわ。
やはりウォーハンマー(メックじゃなくてミニチュアゲームのほうだ)をプレイする様になってインストールされた概念の数々が
だいぶ理解の助けになってくれた感はあるわね。
兵科毎のユニットの役割とか、コストパフォーマンスとか
必ずしも勝敗や公平な条件に拘らずにドラマを楽しむナラティヴプレイの概念とか
あと付属マップの出来が良い気がする。
遮蔽になる山や林、機体の冷却を助ける湖の分布バランスが綺麗だし
戦場のシチュエーションを指定するシナリオもシンプルながら格好良くて没入感が高い。
ちまちま遊んでいきたいわね。
銀河の歴史がまた1ページ……