エイダン・トルーヘン著 三角和代訳 七人の暗殺者

 

七人の暗殺者 (ハヤカワ文庫NV)

七人の暗殺者 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

ドラッグ・ディーラーのジャック・プライスの階下に住む老婆が何者かに殺された。

頭のおかしい婆さんだったし、好きでもなんでもなかった。

でも、彼女が死んだのはジャックの部屋の真下で、ジャックの縄張りで

彼のビジネスと、ブランドと、安全保障と、心の平穏に極めて大きな影響があった。

 

調査を始めたジャックは暴漢達の襲撃を受け、ボコボコにされる。

「忘れろ」

忘れられるか馬鹿野郎。

更に追いすがるジャックさんに衝撃の情報がもたらされる。

彼を消すために殺し屋が雇われた。

「ゼヴン・デーモンズ」

世界最悪にして最高峰の7人。

大統領を暗殺したり、国家を転覆したりさせる時に雇われる

プロフェッショナル中のプロフェッショナルだ。

じゃあな、ジャック。もう連絡しないでくれ。

 

 

あたまがおかしい。

そこまでやるか。

明らかに常軌を逸している。

一体何でそんな事を。

 

 

でも実はもっと常軌を逸して頭のおかしい事実が一つあって

 

それは

 

他ならぬジャックさんがジョーカーの狂気とレックス・ルーサーの知性を併せ持つ

頭のおかしいスーパーヴィランだった事なのです。

 

あーあ、やられちゃったー!

ここまでやられたら俺も生きるためには必死にならざるを得ないから

しょうがないよな!!

 

ジャックさんの常軌を逸して悪辣な反撃が始まる!!

 

自分に繋がる情報を持った仲間の頭部バズーカ!

鉄格子with剃刀スーツをまとって目に入るものを全て殴りつけるアーマード狂人!!

中沢啓治の怪作『進め!!ドンガンデン』みたいだ)

フラッシュモブ・プロポーズ液体窒素ドローン!!

 

なんでそんな面白い以外に何の意味もない手口ばっかり繰り出すの!!

 

しょうがないだろ!生き延びるためなんだから!

 

常に怒る理由を探している不機嫌なおじさんみたいな理屈で狂気をぶちまけて

仰天するほど悪趣味な攻撃を矢継ぎ早に繰り出すジャックさん。

 

当座の資金を得るためだけの為に人狩り趣味の暗黒大富豪を殺したりする。

(普通はラスボス枠なんだけど唐突に出てきて1ページくらいであっさり殺られる)

目的と手段が逆転しており、この辺に来るともう殺された老婆も

なんで自分が狙われたのかもどうでもよくなっており

どこまで手口をエスカレート出来るかのチキンレースみたいな有様だ。

 

全く感情移入できないマッドメンが暴れまくる話。だがやたら面白い。

 

文体にも無茶苦茶癖があり、かなり読みにくいんだけど

細かい事を考えずに浴びるように読み、理解不能な箇所は斜め読みしたら

いい塩梅にリズムに乗れた。多分翻訳者の腕が凄い。