アン・レッキー著 赤尾秀子訳 星群艦隊

星群艦隊 (創元SF文庫)

星群艦隊 (創元SF文庫)


本体である兵員輸送艦と愛する副長を失い、復讐の為に自らを生み出した銀河帝国ラドチの皇帝、アナンダ・ミアナーイに反旗を翻したハイパーAI主人公ブレクさんが主人公の三部作完結編。


ブレクさんは愛と別離の哀しみを知り、蹂躙するものとされる者、支配するものと従属するもの、人とAI、被害者と加害者だいたい全ての立ち位置を経験済みの2000歳のAIである。


そんなブレクさんが2つに分裂した皇帝の争いの真ん中で「どっちも気に食わねえ」って顔しながらも


アソエク星系ステーションの駐留艦隊司令として人種差別や植民地主義や人格蹂躙や亡霊星域の謎解きや圧倒的超越種族との綱渡り外交を、莫大な経験値からくる安定感でやっつけつつ


業を煮やして乗り込んできたより暴君で悪辣な方のアナンダ・ミアナーイと対決する。


暴君 VS AIマン!

「民のため、正義のため、ラドチのため、お前は何も判ってない、お前がしたことは全体にとって有害、黙って言うことを聞けパンチ」を繰り出す皇帝と

「よりによってこの俺に向かって何偉そうな寝言抜かしてやがる、んなこた100も承知なんだよ、そもそもてめえ裏切ったじゃねえかこのクソ野郎キック」でカウンターを狙うブレクさん。


そしてハイパーSFアクションとヒロイズムとウィットとユーモア大盛りの会話の果てに炸裂する小粋クライマックス。


登場人物達の魅力もより一層磨きがかかって、最後まで面白さが加速しっぱなしのナイスブック。


早速読んでブレクさん無双に薄笑いをもらそう!