グレン・ハミルトン著 山中朝晶訳『冬の炎』

冬の炎 (ハヤカワ文庫NV)

冬の炎 (ハヤカワ文庫NV)

 

前作『眠る狼』

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に続く、元レンジャーの帰還兵、プロ犯罪者の祖父に育てられ、その技術をコネクションをそっくり継承したプロフェッショナル。

都市でも荒野でも強い系主人公ヴァン・ショウさんが主役のシリーズ第2弾。


祖父の友人ウィラード(闇カジノ運営者。サイズがでかい)から依頼を受けて大金持ちの恋人と山小屋に行ったっきり戻らない彼の姪エラナを探しに来たショウさん。

エラナはショウさんの幼馴染でもあり、割と複雑な関係の相手でもある。

だが、山小屋に辿り着いたショウさんが見たのは無残な男女の死体と

それを貪ろうとする熊だった!!

一体何があったのか、誰がこんな事をしたのか、っていうかこの熊どうしよう!?

 

衝撃のOPから疾走するヴァン・ショウさんの活躍を見よ……!!

 

お話は前作と同じく過去と現在を行き来しながら二転三転するし

ショウさんはそのゴツすぎる設定とは裏腹にかなり丁寧なタイプの調査を行う

主人公である。

勢い、本作は推理小説の匂いを漂わせる。

僕には推理小説とスリラーとサスペンスの区別はいまいちつかない。

ショウさんは超強く、今作で合流したPTSDの元部下、韓国系アメリカ人の狙撃手

レオナルド・パク(物静かで心に傷を負っており、凄腕でショウさんに忠実である。エモい)と合わせて大抵の敵は武力で排除できる筈なのだが

ギリギリまで暴力を行使しない。

このあたりのバランスが推理小説っぽく感じる。

 

そして舞台はシアトルである。

夜のストリートであり、暗黒街と大金持ちが絡む微妙なバランスの綱引きである。

もうシャドウランそのものよ。

コネクション、コンタクトの使い方や

捜査当局の介入をギリギリまで避ける小狡いテクニックの数々

粋な会話に、戦争で深く傷ついたショウさんの内面描写など

読んだら即ゲームしたくなったわい。

 

ところで恋人ルースとの関係なんだけど、これどうなっちゃうわけ?

この展開はあまり良い予感がしない。

上手いこと着地してよね!ホント!頼むわよ!