始まりの段。

D&Dが遊びたくなったのでキャンペーンを始めてみましたよ。
ここの所ファファード&グレイマウザーとかコナンとかエルリックとか読んでお脳がヒロイックファンタジーになっていたせいもあり、いざ鎌倉とばかりに開始ンぐです。
通常、D&Dを遊ぶ際は顔一面に殺すと書いて殺すと読み、屍の上に屍を積み重ねる殺りまくりゲームなのですが
今回は雰囲気重視、フレーバー重視ですよ!モンクとかバードもいらない子じゃないですよ!むしろ主役ですよ!
舞台はグレイホークですよー!




キャラ紹介

◆"Pavement Wind"アッシュ・ワイアー
種族:エルフ
性別:女
属性:真なる中立
クラス:バード(1)
年齢:128 肌の色:白 瞳の色:深緑 髪の色:赤
グレイホークの南西、エルフ国家セレネ出身の女バード。
ギターをかき鳴らして金をせびったり、酒場の親父をたぶらかしたりする昔懐かしいマニューバで賞賛されるも
後半、デストランス*1エフェクトでレイピアを振り回す剣鬼ライク生命体に。
PLはからすマン



◆シンクロナス
種族:人間
性別:男
属性:秩序にして中立
クラス:モンク(1)
年齢:20代半ば 肌の色:褐色 瞳の色:黒 髪の色:黒
グレイホークの貧民街に生まれ、やたら頑丈な肉体とめっぽう硬いげんこつを武器に成り上がることを
夢見る日雇い労働者。イメージソースはDef Jam Fight for NY(http://www.japan.ea.com/ffny/index.html)。
PLは吉井さんid:THOR



◆ラダメディウス
種族:人間
性別:男
属性:混沌にして中立
クラス:ウィザード(1)
年齢:30代前半 肌の色:土気色 瞳の色:灰 髪の色:白 
べらぼうに顔色悪いガイ。末期超人病患者。地に足の着いた他の二人に比べて夢見がちな設定を
大量に持つ。モルデンカイネン*2の弟子とか。
名前以外の過去の記憶を全てなくして死体置き場で目覚めたウィザード。
PLは夏瀬マン id:natuse44


フラネスの宝石、世界最大の自由都市グレイホークシティ。
その一角にある酒場で出会ったシンクロナスとラダメディウスが酒を酌み交わしていると、半ば以上ごろつきの
自警団員が数人、絡んできた。ラダメディウスが頭から中生ジョッキを浴びせられ、臭い乞食と罵倒されたので怒ったシンクロナスが相手をぶん殴ろうとするとカウンターに座ってギターを弾いていたアッシュも自警団員に野次を浴びせて険悪な雰囲気ボーナスを重複させ、3対4の大喧嘩となった。
殴り合いが始まった瞬間、シンクロナスのスナップの効いた裏拳が唸りを上げ、団員の一人の首が奇妙な方向に捩れると
二度と元に戻らなくなった。アッシュのレイピアがひらめき、ごろつきの頭目は手傷を負ったが死ななかったのでとても怒って殴り返したがそれは外れた。
次の瞬間、無感動な目で騒動を眺めていたラダメディウスが鮮やかな赤、青、黄色の顔料を一掴み腰のポーチから掴み取ると、二言三言まじない言葉をつぶやき、印をきるとごろつき達に投げつけた。
するとそれは空中で広がり、目も覚めるような色彩の霧となって与太者達に吹きつけ、彼らの視界を奪い、無力化した。カラースプレーの呪文である。
もはや戦意を喪失した自警団員達は覚えてろテンプレートを使用して速やかに撤退していった。
恐るべきは魔道の冴え。

首尾よく喧嘩に勝った一同が意気投合し、祝杯を挙げていると油断ならない気配のハーフエルフが一人尋ねてきた。
奴の名はコランタン。さっきコテンパンにした自警団の偉い人。
その腕っ節を見込んでちょっと来てよ。事務所まで。
露骨なお礼参り体制にレッドアラートが鳴り響く一同だったが、しばしシンキングの後、「やれるもんならやってみい」的鋭い目で同行することに。


連れてこられたのは街区の外れ、武装した団員がうろうろする二階建ての古い建物。
2階の団長室に通された一同は、自警団長のモレドと面会する。やつはヒューマンファイターの古強者あった。
「お前ら強くて気に入ったから仕事を頼みたい。」
「兵隊さんの給料盗んだヴァカがいるから行って殺って獲って来い。」
「報酬も弾みますよ。」


無茶苦茶怪しみつつも、とりあえず依頼一件受注する3人。
納期は三日後。
あんまり怪しいのでもりもりとリサーチ開始。
すると出るわ出るわ。
・自警団とか言ってるけどそもそも認可されてない。
みかじめ料は巻き上げるわ、飲んだくれて暴れるわで唯のごろんぼうの集団。
・というか背後には盗賊結社がいるらしい。
・ご禁制の黒蓮の密売にも手を出してるぜ。
・ハーフエルフのコランタンは盗賊結社から派遣されてきた顧問だぜ。ハンドルは“スネークバイト”コランタン。

こりゃあ、いかんとげんなり顔になりつつも仕事受けちゃったので
適当に物資などを購入して現地へ。


件の盗人の潜んでいるのはグレイホークシティの外、城壁近くの今はもう誰も住んでいない廃墟だという。
3人がえっちらおっちら出向いてくると、一番マシな小屋の表で小型の人型生物が4匹、うろうろしていた。
狡猾そうに赤く光る目、耳障りな甲高い声、人類の歪んだカリカチュア。いわゆるゴブリン小人である。
3人が武器を構え、戦いの決意を露わに姿を現すと4匹は一斉に突撃してきた。いわゆるリンクして鬼Addである。
「Mezzerさん、しっかりよろ^^;」
「無理www張り付かれwwww」
袋叩きにされたアッシュのHPがぴったり0になる危機的状況を潜り抜けつつ、からくもゴブリンを皆殺しにした3人は隊形を整え、小屋に向き直る。

ドアを開ける寸前、エルフ特有の動物的な勘で危険を察知したアッシュ。「ドアはオープンの呪文で開きます。」
ドアが開いた瞬間、中でバリケードを築いて待ち構えていた中型の人型生物(ホブゴブリン)がバーキラカの大きい人もかくやって勢いでジャベリンを投げつけたが誰にも当たらなかった。
奇襲に失敗したホブゴブリンが勢いに乗った3人に勝てるわけもなく、エントランスはあっさりと制圧完了。


奥の部屋に続くドアを開けると、部屋の中央には黒檀で出来た櫃が置いてあり、その上に何処か豚に似た顔をした中型のヒューマノイドが腰掛けていた。
中型ヒューマノイドは鋲を打ち込んだ革鎧に身を包み、血管の浮き出た太い二の腕には似つかわしくないほどに見事な銀細工の腕輪をはめ、足元には殴られたらD12ダメージは確実な巨大な戦斧を立てかけ
赤く血走った目で一同をギロリと睨みつけると鉄が軋るような共通語で叫んだ。
「奴らのよこした殺し屋か!エルフ交じりが考えそうなこった。お前らの首を送り返してやれば目が覚めるだろうよ!」
そしてふいごの様な息を吐きながら斧を引っつかむと3人に向かってきた。
そのままイニシアティブフェイズに移行する一行。やるきまんまんでダイスを振るDMだったが結果は3.
当然動けるのは一番最後である。にじり寄る死神の足音。
ターン開始と同時にダイナミックアプローチで部屋の中に転がり込んできたアッシュがショートボウを放つと矢は風を切ってまっすぐに飛び、オークの額に突き刺さった。
「弓とは卑怯なり、飛び道具とは卑怯なり。」盗人の首領は悲しそうに呟くと倒れ伏し、メレー馬鹿の守護聖人ギルガイン卿*3の待つプレーンへと召された。
「エルフの弓とは誠に恐ろしいものだな。」
「こいつがショボかっただけさ。」
命の危険が去ると同時にロールプレイも光る。

首尾よく盗人を始末した3人。早速オークが腰掛けていた櫃を開けてみると手紙が一通に金貨がみっしり1000枚入っていた。
念のためにディテクトマジックをかけてみるとオークの腕輪と櫃の中がビカビカ光る。
金貨を掻き分けてみると、中から見事な作りの一振りのレイピアが出てきた。
刃に美しく複雑な紋様が掘り込まれたこの剣は、抜き放つと魔法のエッチングを通り抜ける空気がまるで歌うような美しい音を立て、呪歌使用能力にボーナスを与えることから「ソングブレード」と呼ばれるバード垂涎の+1レイピアであった。
途端に目の色が変わって動きが不審になるアッシュを尻目に手紙を読み始めるラダメディウスとシンクロナス。
すると「盗賊結社様へ、今月のヤクのあがりから上納金をおくります。あと上等な武器も手に入ったので送ります。」と書いてあった。
金は兵隊さんの給料などではなく、黒蓮密売の上納金であった。
表沙汰に出来ない金を盗まれて怒り心頭したモレド達は、ちょうど現れたろくでなし共を鉄砲玉に仕立て上げて、オークに盗まれた上納金の回収を狙ったのだ。
おいおい、俺ら消されるんじゃね?と暗い顔になる二人を尻目に目の据わったアッシュは自分のレイピアを鞘から抜くと、ソングブレードの代わりに鞘に収め始めた。
「だって、凄く欲しかった。」とはPLの弁である。
もういっそのこと金持ってずらかるべきかまで考え始める3人。
しかし「1000gpぽっちで街を捨てるよりも、うまく立ち回ったほうが儲かりそうだべ。」という方向で意見が一致し、一部すり替えのみで依頼人の元へと戻ることとなった。


この時点で各自2lvにレベルアップ。シンクロナスとラダメディウスは2レベルモンクと2レベルウィザードに。
アッシュはスワッシュバックラーとマルチクラスして近接戦闘能力を強化した。
ちなみにオークの持っていた腕輪を鑑定してみるとブレイサーズオブアーマー+1だったのでホクホク顔でシンクロナスが嵌めた。



さて自警団本部へと戻ってきた3人。
さっそく団長室に櫃を運び込むと、モレド団長はお前ら用済み顔で露骨に態度が悪い。
「分かってるとは思うけど余計なこと触れ回ったら殺す。」
「報酬?命があるだけありがたいと思え。」
入り口に衛兵を置き、脇で悠然と紅茶をすするコランタンをオプションに言いたい放題の団長。
本部いっぱいに詰まった団員にびくびく顔の3人だったが、この狼藉に目が据わり、アイコンタクトが始まる。


「もういいからこいつ殺さねえ?」

「そうだな、殺そう。」

そういうことになった。


「おい、乞食どもがちょろまかしてないか確かめろ。」と、部下に金貨の勘定を命令するモレド。
自警団員が櫃の蓋に手をかけて開けようとした瞬間、アッシュのブーツがどっかと蓋に踏み下ろされた。
「あたしらを乞食呼ばわりできるほど、アンタは上等な人間じゃないだろう?」
突然態度を豹変させた3人に戸惑いつつも「お前達、ここから生きて出られると思ってるのか?」とモレドが右手を上げると壁の隠し扉から石弓を構えた団員が二人現れた。
5対3。しかも階下の控え室にもまだ自警団員は残っている。絶体絶命の状況である。
「お前らもこうしてやるよォー!」と叫びつつソングブレードを抜き放ったアッシュが櫃を蹴り開けると中にみっしり詰まっていたオークやゴブリンの首が転がり出た。
鳴り響くギターの重低音。悪性超人病発作の典型的症例。
殺せと叫んで剣を抜くモレド。
コランタンは「くそ、とんでもねえ狂犬共だぜ!」と叫ぶと懐から取り出した小瓶の中身をティーカップに注ぐと飲み干し、姿を消した。インヴィジビリティポーションであった。
奴の名は“スネークバイト”コランタン。視認不可状態からの一撃はまさに毒蛇の一噛みである。
その刃が3人に襲い掛かる刹那、とんちドライブをフル回転させたアッシュがフリーアクションで交渉を持ちかけた。
「どうだい、アンタアタシ等につかないか?団長の部下ってわけじゃないんだろ?盗賊結社に紹介しておくれよ。」
「モレド団長に勝ったら考えないでもないぜ。」
交渉成立。1名中立化で形勢は4対4に。
目の前で繰り広げられるありがたくない会話にみるみる顔を赤くしたモレド団長は、イニシアティブを制すと直ぐにアッシュに斬りかかった。
「この、赤毛のあばずれが!呪われろ!」
まったくだと全員が頷いたが、攻撃は外れ。

続いてラダメディウスが石弓を持った2名にカラースプレーを仕掛けるが、セーヴィングスローに成功されてしまう。
「貴様の怪しげな術については報告済みだ!」いい気になるDM。

それを尻目に手近な団員の頭を引っつかみ、壁に叩きつけるシンクロナス。血と脳漿が飛び散り、鮮血の花が咲いた。
「これが俺のカラースプレーだ。」
あっ!吉井さんの脳が性質の悪い寝言の国と繋がってるっ!

仲間を襲った死体損壊ジョークに腰砕けになった団員達の矢は3人を倒すに到らず、2ターン目でモレドはアッシュの歌う刃にかかってこま切れになった。
一方なにやら鉄の粉を一つまみ、シンクロナスに振り掛けるラダメディウス。
戦いの物音におっとり刀で階下から駆けつけた自警団員達が団長室のドアを開けると同時に巨大な腕が突き出され、先頭の団員は巨岩の様な拳をまともに食らって壁に激突。鮮血でグラフィティを描いた。
たたらを踏んで立ち止まった団員達が見たものは、エンラージパーソンの呪文でパンッパンに膨らんでLサイズクリーチャーになった黒人であった。
それに伴い、10フィートに伸びた間合いで嵐の様なHIPHOPを刻むシンクロナス。
わっと逃げ出す団員達に鉄拳の乱打が襲い掛かり、壁には次々とグラフィティが刻印され、シンクロナスと仲間達へのストリートのリスペクトはみるみる高まった。
流血のジェットセットラジオ


生き残り、1階まで退却した団員2名がNYPDと書かれたタワーシールドの影で震えていると、2階から血塗れの黒人が降りてきて「降伏するか?」
と言ったのでおしっこを漏らしながら白旗を振った。

まんまと自警団本部を武力制圧した3人。上納金の半分をコランタンと山分けにすることを条件に降伏した部下2名とモレドの縄張りを引継ぎ、グレイホークシティにおける活動拠点を手に入れたのであった。





さて、ここまでで第一話として用意してきたシナリオは終了したのだが、3レベルにレベルアップするのにはEXPが少々足りなかった。
そこでランダムエンカウント表を振って出てきたゾンビの群れやバグベアーと戦い、3レベルに上がった一行。
ラダメディウスのマジックミサイルもめでたく2発飛ぶようになり、次回に備えてスクロールを作成する段階で消費するEXPが少々足りないことに気がついたのが事の発端であった。

かるくもう1戦やらね?とのリクエストに
せっかくだから少し歯ごたえのある敵を、とDMがモンスターマニュアルを引いて脅威度3の遭遇表を即席で作成。
意気揚々と狩りに赴いた3人を待ち構えていたのは、頭を小刻みに振りながら地面を突付く、蝙蝠の羽を持った巨大なニワトリであった。
どうみてもコカトリスD&D特有の情け容赦のない状態異常攻撃を思い起こして青ざめる3人。だが、倒せば見入りはでかい。
「やってやらあ!」と突っ込んだシンクロナスにコッコッコとくちばしの一撃が命中。STに失敗したシンクロナス石化。

グリースの呪文で足元を狙い、その隙を突いて襲い掛かったアッシュであったがコカトリスの反応STは+7と非常に優秀であった。
再度コッコッコとくちばしが唸りを上げ、アッシュ石化。
足がつるつるすべるグリースエリアを利用して敵の移動範囲外に逃れたラダメディウスは素早くミラーイメージを起動、2体の幻像を呼び出して魔獣の襲撃に備える。
次のターン、60フィートの飛行能力でグリースエリアを飛び越えてやってきたコカトリスの嘴が、3分の1の確立で本体を直撃。
特技:頑健無比の効果も効果もむなしくラダメディウス石化。


あとにはのんきに地面を突付くコカトリスだけが残った。




囁きと祈りと詠唱が聞こえ、目を覚ましたシンクロナスが頭を振りつつ辺りを見るとそこは聖カスバートの寺院で心配そうな顔をした自警団員が覗き込んでいた。
「あんなに強かったボスがやられるなんて…」
3人分の石化解除呪文の代金は1980gp。大赤字である。いや、命があるだけめっけモンだよーなどとラダメディウスと世間話をしながらアッシュの蘇生を待っていると
石化された体が生身に戻る時のショックに耐えられずにアッシュは死んだ。再度の頑健ST15は難関であった。


レベル17、偉大な司教の言う事にゃ、復活コースは3種類。
レベルが下がってHP1で復活する梅。
レベルが下がってHP全快で回復する竹。
レベルが下がらずにHP全快で復活する松。


でも松はちょっとお高いですよ。いや、かまわん仲間のレベルとプレイアビリティに比べたら金なんぞいくら払っても惜しくはないわとカッコよく財布を取り出してアッシュ復活。



お代はしめて28510gpになります。

***おおっと、国家予算クラス***

「保険利きませんか?」
「利きません。」


借金を返す為、今、壮大な冒険の幕が上がる......!



ゆるゆるD&Dキャンペーン第一話、完。

*1:http://www.deathtrance.jp/

*2:多分グレイホークで一番有名なウィザード。伝説的な逸話を数多く持つらしいが、皆あんまりD&D詳しい訳でもないので「設定からして、ひでえ厨房」「多分PLはモンテ・クック」位の適当な認識をされている。

*3:ブレイドオブアルカナ1st付属キャンペーン第4話「堕ちてなお騎士」ブレイドオブアルカナ2ndEdメロディオブミンストラル第5話「いつか帰る日のために」に登場する殺戮者。フルネームは“金剛不壊の盾”ハウエル・エルンスト・ギルガイン。殺戮者に堕ちつつも高潔の心を失わない騎士の中の騎士。接近戦ではまさに無敵を誇るが、遠隔攻撃手段を持たない為PC側が魔法および飛び道具に特化した構成だったりすると成すすべもなく射殺される。