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中村さんに「Twitterで呟くだけじゃなくてブログで記録したら」って言われて「それもそうだ」って思ったので読んだ本の感想を書くマンです。
- 作者: マークグリーニー,Mark Greaney,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: 文庫
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陰謀によりラングレーから発見次第射殺命令を出された元CIA特殊工作員コートランド・ジェントリー。
だが彼は生き延び、闇の世界に入り、そしてそこで伝説となった。
暗殺者”グレイマン”
だれでもない男。
シンプルな正義感を判断材料に困難な殺しの依頼を引き受け、そして完遂する。
グレイマンの標的は悪党だけ、そして罪のない人間を巻き込まない。
そんなアメリカ人男性がグッと来る行動規範の元、追手を逃れて世界中を彷徨うグレイマンさんは
ついつい行く先々で窮地に陥った人(と美人のヒロイン)を放っておけずに頭を突っ込み
民間軍事会社とロシアンマフィアと南米麻薬カルテルをマジギレさせ
追ってきたやつをボロボロになりつつタフなアクションで血祭りにあげ、今日も逃げ続ける。
自らを陥れた陰謀の手がかりが存在することを信じ、そして再び日の当たる場所へ帰る日が来ることを信じて。
そんな感じの冒険アクション小説ざます。
正直な話、グレイマンさんの行動規範は割とシンプルなアメリカ人男性のもので、その正義感も主に同国人、及び同盟国人、そして美人のヒロインにのみ向けられているように見えないこともない。
第1巻『暗殺者グレイマン』で登場した時のグレイマンさんは、「俺が殺すのはワルだけだ」的な事を言いながら肩で風を切って歩く感じのよくいる主人公、という印象だった。
だが、1巻のラストで信用できるフィクサー(作中では調教師:ハンドラーと呼ぶ)との絆が途切れ、単身で逃亡生活に入った後のグレイマンさんはぐっとかっこよくなる。
子供のために傷ついたり、弱者をかばうアクションは前から見せていたが、庇護者を失ったことで自分の安全を危険にさらしてまで他人を助けるハードボイルドヒーローっぽさがぐぐっとましたのだ。
とっととトンズラして目立たないように潜伏したいのに、ついうっかり放っておけなくて麻薬カルテルと大銃撃ガントレット・カーアクションを繰り広げ、それが報道されてCIAの刺客が飛んできちゃったりする。
その度に彼の命を狙う敵は増え、行動パターンは分析され、巻を追うごとにグレイマンさんは精神的に追い詰められ、くたびれて、傷だらけになり
そしてアメリカを始めとする国家、複数の強大な犯罪結社や武装勢力が血眼になって命を狙っているにもかかわらず捕まらず、困難な殺しを次々と成功させる諜報世界の伝説としてその名は闇に燦然と輝く。
第4巻ではグレイマンさんが自分のパーソナリティーについてシンプルである事を認めるようなシーンもある。
グレイマンさんの敵も、「悪党しか狙わない」グレイマンさんの行動規範は自己満足であり、欺瞞でしかない、英雄になりたいだけだ、とチクチク突っ込んでくる。
それを半ば自覚しつつも、でも正義の暗殺者であることをやめられないグレイマンさんはシリーズを追うごとにかっこ良くなっていく気がするのだ。
ところでこの手の現代軍事アクションみたいな小説って特有の文体がある。こんなかんじだ。
突入隊員たちは全員がヘッケラー&コッホMP-7PDWで武装し、9ミリ口径のSIGザウアー・セミ・オートマティック・ピストルを腰に携帯し
ヘルメットの下にはペルターComTac?ヘッドセットを装着していた。胸と背中は、軽量のケヴラー製抗弾ベストに護られていた。
ライフル弾に耐える、ハイテクのセラミック製SAPI(小火器防護用プレート)で完全防御する手もあったが情報によって、ターゲットはライフルを持っていないという確信があった
イカスガジェット名と使い方、プロっぽい装備選択の様子がザザザーッと飛び出てくる見せ場の一つだと思う。
「今はこういう武器を選ぶとプロっぽく見えるのか!」とRPGゲーマーはニッコリ出来る。
でも、なんか読んでて気恥ずかしい。
「プロがプロの銃を持ってるぜ、もちろんプロだから予備の銃も持っている。それからプロの着る防具を着てる。プロの通信機も持ってる。そしてプロの動きで、作戦を決めているプロよ」
って主張を感じてしまう。知覚過敏だとは思うんだけどこう、なんていうか
ゲームしながら興奮して叫んでいるのをお母さんに「これだから男の子はねえ…」って顔で見られた時の気恥ずかしさみたいなものを感じるのよ。
商品名と製造企業名をひたすら連呼してディテールを重ねるのはサイバーパンクっぽくて好きなんざますけど
軍事関連のガジェットを細かく詳しく使い方やそれが選ばれる理由まで描写していくと、居心地悪いわね。どうしてかしらね。
この感情をなんと名づけたものか……(散漫に終了)