ブランドン・サンダースン著 川野靖子訳 王たちの道3 自由への架け橋

王たちの道3 自由への架け橋 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

王たちの道3 自由への架け橋 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)



狂った様に面白く、読んだ僕を興奮のあまり発狂させるグレイテスト面白ファンタジー第一部完結編。




これから熱っぽい目で感想を書き連ねるつもりですが、未読の人はもったいないから先入観抜きで本編を読むべきだと思います。

でもこの興奮を誰かに伝えたくてしょうがないので一番グッときた部分についての日記は書く。書かいでか。



大切な人間達を守ろうとし、その度に全てを失ってきた男カラディン。

かつて”嵐に護られた男”とまで呼ばれた男は度重なる挫折に打ちひしがれ、味方の盾となって最初に敵軍の矢に倒れるのが役目の最下級の戦奴にまで身を落としていた。

人々を守るために戦い、英雄的行為を成し遂げ、裏切られ、失い続けた男に今付き従うのは、同じ奴隷仲間と、人語を解する奇妙な風の妖精(スプレン)のシル。

支配階級である貴族、ライトアイ達に幾度と無く裏切られ、踏みつけられて来たカラディンの怒りと不信はあまりにも深い。


そして今また目の前で光主と呼ばれる大貴族が卑劣な裏切りを働き、誇り高さ故に疎まれる光主ダリナルとその軍が敵中に取り残され、全滅しようとしていた。

「奴らは全て同じだ」「同じように裏切る」「俺達が手を差し伸べてどれだけの事が出来る?」「意味なんてない」

苦悩の中、死んでいくダリナル軍を見捨てて撤退命令に従おうとしたカラディンにシルが語りかける。

「風スプレンは風に引き寄せられるの?」
シルが小声で尋ねた。
「それとも風を作るの?」
「わからん、それがどうした?」
「なんでもない。ただ、自分がどんなスプレンかを思い出したの」
「いまそんな話をする時か、シル?」
「あたしは物をくっつける」
シルが振り向いてカラディンを見た。
「わたしは名誉スプレン。誓いの精、約束の。高潔さの」


裏切られ、打ちひしがれ、絶望していた男に、このスプレンが常について回っていたのは何故かが明かされるこのシーン!これ!これよ!!もうたまらん!

そして、ここからはじまるラスト100ページの全力疾走、スーパーカラディンさんカッコいいタイムは歴史に残るハイパークライマックスよ!



ブランドン・サンダースンは「衝撃的な事実!!」「やっぱり嘘でした!!」「嘘じゃないけど勘違いだった!」「だけどやっぱ騙そうとしてた!!」的な
読者が絶対わからない系どんでん返しを連打してくる作家なので一抹の不安を感じつつも、このシーンのかっこよさは色褪せぬ。


三冊揃えたら7000円超えちゃう本なんだけど、この調子で第10部まで続いても余裕で買うし読むわ。発売日にな!
それくらいのお気に入りであり、「アー、上手い作家だよねー結構すきだよハハハハ」とスノッブに笑っていた僕を熱烈なブランドン・サンダースンファンに変えたこの小説はマストバイよ!